CCIJF – 在仏日本商工会議所

予算法案、最終的に可決:法人税制の修正点を紹介

2025年予算法案が6日、上院にて最終的に可決された。予算法には、政府の試算で123億ユーロ相当の法人課税強化が盛り込まれた。予算法は500億ユーロの財政赤字削減を予定しているが、その4分の1近くを企業が負担する計算になる。

1年間を期限とする臨時課税が法人を対象に適用される。2024年と2025年の売上高が10億ユーロを超える500社近くの大手企業について、2024年と2025年の納税額の年間平均値に対して、年商30億ユーロまでの企業なら20.6%、それを超えるなら41.2%の税率にて、加算税を徴収する。海運会社については、2025年年商が10億ユーロを超える限りで、2024年と2025年の営業利益の平均値に12%の税率にて課税がなされる。いずれも2025年12月時点で前納金を納付させ、実績を踏まえて翌年中に精算する。

自社株買いへの特別課税が適用される。年商10億ユーロ超でフランスに本社を置く企業について、2024年3月1日から2025年2月28日までに行った自社株買いを対象に、8%の課税を行う。石油大手トタルエネルジーは、自社の納税額が1億-1億5000万ユーロになると試算している。政府は全体で4億ユーロの税収を期待している。

金融取引税(TTF)の税率が、0.3%から0.4%へ引き上げられる。同税の税収は2025年に23億ユーロに上る見込み。

従業員数11人以上の企業が、公共交通機関振興を目的に地元地域圏に納付するVM(モビリティ拠出金)の料率上限が0.15%(社会保険料の徴収標準となる支払い給与対象)に設定される。パリ首都圏(イルドフランス地域圏)をはじめとする地域圏が引き上げを計画している。

法人の付加価値を課税標準とする地方税CVAEの減税は見送られた。

研究税額控除(CIR)の適用条件等が一部厳格化される。特許関連等の費用が対象から外され、ポストドク採用の優遇措置(2年間にわたり報酬を2倍額にて控除)が廃止された。運営費の控除率は43%から40%へ引き下げられた。

簡易登録事業者(ミクロアントロプルヌール)については、付加価値税(VAT)の除外を受けられる年商上限が一律2万5000ユーロに引き下げられる。これまでは、大部分の職種において、3万7500ユーロが上限だった。この措置には反発が多く、ロンバール経済相は6日夜、反対に配慮し、各方面との協議を進める間、施行を凍結すると約束した。