バイルー内閣の不信任案、否決に
下院で16日にバイルー内閣の不信任案の投票が行われた。過半数の288に対して、賛成は131に過ぎず、不信任案は否決された。
不信任案は、左派勢力のうち、「不服従のフランス(LFI)」、共産党、EELV(環境政党)の3党が共同で提出した。バイルー首相は16日までに、予算法案に関して一連の譲歩を社会党との協議において示して説得。社会党内では意見の対立もあったものの、不信任案への合流を見合わせた。極右政党RNは、最初からこの不信任案には合流しないことを決めており、予想通りの否決となった。
バイルー首相はこれで、政局運営において当面の足場を確保したが、山場は成立が遅れている2025年予算法案の審議となる。首相はまず、年金改革の見直しを労使交渉に委ねることに応じて譲歩したが、それに加えて、医療部門の支出削減の見直し、教員削減の断念、海外県・海外領土向け予算の維持などで社会党の要求に譲歩した。これら譲歩については、バイルー内閣に加わるマクロン大統領派の旧与党と共和党(保守)のいずれも不満を持っており、予算法案の審議の過程で紛糾する可能性がある。
経済紙レゼコーの試算によれば、新たな譲歩により年間支出は30億ユーロ増大する。公共医療機関における予算増で10億ユーロ(1万5000人のスタッフ採用など)、医薬品・診察料等の自己負担分引き上げ等の見送りで10億ユーロ、海外県・海外領土向け予算の維持で2億5000万ユーロ、教員4000人の削減見合わせで1億5000万ユーロ、フランス・トラバイユ(ハローワーク)の職員数500人削減見合わせで数千万ユーロ、公務員の傷病手当金の待期期間延長(1日から3日間へ)の見合わせで3億ユーロなどの予算増が発生するという。首相はその一方で、富裕層対象の課税強化なども約束した。