ブルターニュ地方のワイン業界、地理的名称保護を申請
気候変動を背景に、ブルターニュ地方でワイン造りが広がっている。生産者団体がこのほど、「ブルターニュ」を冠したワインの地理的名称保護を求める申請を行った。
フランスでは1930年代以来、ワイン用ぶどうの産地には地理的制限が設けられており、ブルターニュ地方でのワイン造りは封じられていた。しかし2016年になり、欧州連合(EU)による規定の整備が行われ、地理的制限が解除された。また、温暖化が進んでいることで、ぶどう栽培にはこれまで気温が低すぎたブルターニュ地方だが、将来的にワイン造りに適した地方に変貌することが見込める。現在では、同地方には43の業者が進出し、110ヘクタールを超えるぶどう畑が展開されている(ブルターニュ地域圏に属する4県の合計)。2024年物は4万本の生産となる見込みだが、2022年には作付け面積が大きく増えたことから、2030年には100万本の大台に乗ることが期待できる。これは、例えばボルドーの9億本と比べてわずかだが、業界側では、ワインの消費が減退傾向を示す中で、量より質を目指す姿勢を打ち出している。白とロゼ、そして軽めの赤ワインという、今日の消費傾向に即した製品を揃える。また、地理的名称保護(IGP)の取得では、100%オーガニックの申請というのは前例がないという。取得までには5年間程度が必要となる。
IGP申請は、ブルターニュ地域圏の業界団体AVVBが行うが、行政区分上はブルターニュに入らないナント地方の業者らはこれに異議を唱えて合流を認めるよう要求。AVVBの側では協議に応じる考えを示しているが、ナント市があるロワール・アトランティック県全域が「バルドロワール」IGPの対象に含まれることもあり、要求が通るかは微妙であるという。