パリ市内のバスが低速化、自転車との競合が背景に
パリ市内のバスの運行に遅れが目立っている。自転車を優先する街路整備が原因の一つだという。ルモンド紙が9日付で報じた。
RATP(パリ交通公団)が去る10月末に発表した集計によると、パリ市内のバスの平均速度(2024年3月計測)は、ラッシュアワー時で時速8.85kmとなり、これは、2022年1月の9.54km、2000年の15kmと比べてかなり遅くなっている。徒歩が4-6kmであることを考えるとその遅さが目立つ。また、ユーザー協会AUTによると、バスの走行時間の39%が、何らかの事情による停車中の時間であるという。バスの定時運行率は悪化し、それを反映して、バスの乗客数は2019年から2023年にかけて29%も減った。当初はバス運転手の不足に由来する運行上の支障がクローズアップされていたが、2024年初め頃から、採用増強のおかけでこちらは状況が好転しているのに、運行遅れは解消されていない。
関係者らは、バスの遅れの原因が交通事情の悪化にあるとみている。特に、バスにしわ寄せがゆく形で自転車レーンの整備が進められたことが問題視されている。パリ市の集計によると、バスレーンの80%が自転車と兼用になっており、自転車を追い越せないためにバスが徐行を強いられる状況が増える。このほか、市内の車両交通規制の強化により、主要幹線道路の車通りが増え、こうした道路を走ることが多いバスにとっては渋滞が増えることにもなる。2026年のパリ市議会選挙に向けて、バスの問題を折り込んだ街路整備の見直しが争点として浮上する可能性がある。