オレンジ、銅回線の回収・リサイクルで入札を開始へ
仏通信大手オレンジは近く、銅線回収とリサイクルを目的に、業者を選定するための入札を行う。従来の電話回線の廃止に伴い発生する大量の銅スクラップを有効活用する。
オレンジは、電話とADSLに使用されている銅回線のサービスを2030年で停止することを決めている。光ファイバー加入者回線網のカバー率が90%を超え、従来の銅回線は不要になった。2022年に策定されたプランの下で、基幹回線の撤去はほぼ半分が既に終わっており、これからは加入者までをつなぐ回線の撤去が立て込むことになる。撤去は2032年までに段階的に進められるが、2028年と2029年がピークになる見通しで、向こう6年間では、直近15年間に発生したのと同量の銅スクラップが発生することになるという。
電動化需要が追い風となり、現在は銅の市場価格が大きく上昇している。2024年春時点では1トン当たり1万1000ドル近くまで上昇、現在も8700ドルと高めで推移している。そのため、オレンジが所有する銅線の資産価値は極めて大きい。2022年6月時点で80億ユーロ超とする報道もなされたが、オレンジはこの金額を確認していない。銅の回収とリサイクルの事業規模はかなり大きく、国内の関連業者にとって、事業機会を提供するものであると同時に、対応への課題を突き付けるものにもなる。特に、国内の銅スクラップの電気溶解炉は10年以上前に姿を消しており、その再整備も課題となる。