無賃乗車の罰金請求、係員による住所確認が容易に
無賃乗車の罰金請求で、係員が違反者の住所確認を行えるようにする新たな制度が8日に始まる。税務当局の情報を参照できるようにする。
新たな制度は、公共交通機関の運営事業者が作る連合組織UTPFが準備した。税務当局が保有するデータをもとに、国立印刷局がデータベースを構築。UTPFが設立した子会社VACSが、そのデータベースへのアクセスを認められるという形に整えた。2016年の法律により、違反者の住所に関する公的データを利用した罰金請求が認められたが、行政最高裁が、民間企業による公的データの保有は認められないとする判断を下したことから、このような2段構えの制度が整えられた。当局機関CNILの承認も得られた。
違反者が虚偽の住所を申告した場合、罰金の請求書が本人にまで届かず、徴収をし損ねるという事態が生じる。全国でその未収分は年間7億ユーロに上るといい、回収率の引き上げが課題となっていた。新制度の下では、係員が正確な氏名等の情報を得ていれば、データベースを参照して正しい住所を突き止めることができる。なお、係員は現状でも、本人確認書類の提示を違反者に求めることができる。新制度は、UTPFに加盟する大手6社(国鉄SNCF、パリ交通公団RATP、ケオリス、トランスデブ、マルセイユのRTM、トゥールーズのティセオ)において8日より導入され、3ヵ月以内に他社も採用が可能になる。当初は、1日の終わりに住所の確認作業がまとめて行われることになるが、法令の改正を待って、車内改札のたびごとにデータベースの参照ができるよう改められる見通し。