CCIJF – 在仏日本商工会議所

ベル、一族株主が和解:上場廃止へ

仏乳業大手ベルの一族株主らが和解した。株主協定を結び、上場廃止に取り組むことを決めた。

ベルは、ラッフィングカウ(La Vache qui rit)やブルサンなどチーズの有名ブランドを展開している。同社の上位持ち株会社で上場主体でもあるユニベルでは、フィエベ、ソバン、デュフォールの3家族が経営方針などを巡り長らく争っていたが、12月16日付で和解し、株主協定を締結した。合計で資本の98.52%、議決権の93.54%を握る3株主の間の協定締結により、残り株式にTOBをかけることが必要になるが、株主3者は1株980ユーロでのTOBをAMF(金融市場監督機関)に申請した。AMFは24日付で、TOBを経て1-6月期中に上場廃止がなされる見通しだと発表した。

フィエベとソバンの両一族は2013年より株主協定を結んでおり、デュフォール一族との間で対立があった。2022年にも上場廃止の動きがあったが、デュフォール一族が異議を申し立てて裁判所で争うまでに至っていた。訴えは最高裁により棄却されており、その後、ここへ来て和解が成立した。

ベルは、2021年の時点で、傘下のLeerdammer(オランダのハードチーズ)を譲渡する見返りに、仏乳業最大手のラクタリスとの資本関係の解消(ラクタリスは23.16%株式の譲渡に応じる)を得ていた。上場廃止を経て、事業の多角化(乳製品代替製品など)を進める上で裁量権を確保する。なお、ベルの売上高は2023年に36億ユーロに上っていた。