英HSBC銀行は20日、フランスにおける保険事業の売却先として、仏マットミュートを選定したと発表した。独占交渉を開始した。

HSBCは欧州事業の整理を進めており、フランスでは、リテール銀行部門を投資ファンドのケルベロスに売却。同部門は商号をCCFに切り替えて事業を展開している。HSBCは保険部門の売却も計画して関心表明を募っていたが、これに多数の候補者が名乗りを上げていた。マットミュートは、9億2500万ユーロと高めの買収額を提示し、独占交渉権を得た。規制当局からの許可を得た上で、2025年6月までの買収完了を目指す。なお、HSBCはこの取引で1億ユーロ程度の税引き前損失を出すというが、戦略に沿って撤退を進める。

マットミュートは共済保険組織を採用しており、自動車保険などで特に強い。HSBCの保険部門は運用資産額が200億ユーロ程度で、2023年には7700万ユーロを超える利益を達成した。、マットミュートは、手薄な年金保険商品の拡充などを狙って、今回の買収を計画した。マットミュートは既に、保険料収入に占める損害保険の割合を、2020年の80％から70％へ引き下げており、健康保険の割合は逆に16％から24％に上昇している。なお、マットミュートは2023年に、保険料収入29億ユーロに対して、4410万ユーロの純益を達成した。