バイルー首相、組閣に向けた協議が難航
バイルー首相は19日、政治勢力の代表を集めた会合を開いた。新内閣の編成と今後の政局運営について協議した。左派勢力は敵対的な姿勢を崩さず、右派勢力も慎重な姿勢を示した。安定した政権基盤を確保するのは困難とみられる。
会合には、極右RNと左翼政党「不服従のフランス(LFI)」を除くすべての政治勢力の代表者らが招かれた。バイルー首相は、この両党を除くすべての政治勢力に入閣を要請。また、左派勢力が特に強く求めている年金改革の撤廃について、労使に交渉権を委ねて、9ヵ月間に渡り年金改革の見直しを協議させることを提案。その間は年金改革の適用の中断はせず、労使交渉が妥結に至らなかった場合には現行制度を維持すると提案した。左派勢力はこれに納得せず、入閣はもとより、内閣不信任案には合流しないと約束することもなかった。バイルー首相はまた、国会運営において、採択強制手段であるいわゆる「49-3」は、予算諸法案を除いては発動しないと約束し、予算諸法案についても、極力発動を控えると約束したが、各派ともこれに納得しなかった。会合は結局、移民政策など懸案の案件に関する協議にまで至らないままで終了。バイルー首相は、各派に対して、20日までに、入閣するか、内閣不信任案には合流しないと約束した上で対話に応じるか、それとも倒閣を狙う勢力に合流するか、3つのいずれのグループに属するのかを明確にするよう促した。首相は19日夜、クリスマス前まで、さらにはこの週末にも組閣を終えると明言したが、安定した基盤を確保するのは現状では困難とみられている。