ムーディーズ、仏長期債務を格下げ
格付け会社ムーディーズは13日、フランス長期債務の格下げを発表した。Aa2からAa3へ1段階引き下げた。ムーディーズはその理由として、フランスの政治勢力が細分化しており、債務削減に向けた財政運営を遂行できる状態にないことを挙げた。この発表は、マクロン大統領がバイルー氏を首相に指名した直後になされており、バイルー新首相にとって手厳しい贈り物となった。
フランスの公的債務残高は3兆2000億ユーロに上っているが、財政赤字も2024年に対GDP比で6.1%まで膨張する見通しになっており、収支改善に向けた展望も、バルニエ内閣の退陣に伴い一段と不透明になっている。そうした中でムーディーズは時期外れの格下げを決めたが、格下げ後のAa3という格付けは、上から4番目に相当し、これは、S&P及びフィッチ(いずれも「AAマイナス」)と横並びになっている。ムーディーズは去る10月に格付けを据え置き、見通しを「ネガティブ」に改めており、今回の格下げ決定は、他の2社と横並びになることを意味し、驚くべき決定とはいえないとする意見もある。ただ、今後は長期金利の上昇と、それと連動した国債費の増大を覚悟しなければならず、財政健全化の有効な展望を示せない限り、赤字が赤字を生む展開に陥る恐れがある。