仏国内の空きオフィス、大きく増加
パリのパレデコングレで10日、法人向け不動産見本市SIMIが開幕した。12日まで開催される。これを前に、国内のオフィスの稼働状況の集計結果が発表された。空室率が記録的な水準に達していることが確認された。
この種の調査はこれまで網羅的にはなされていなかったが、このほど、昨年春に発足した業界団体CBFが全国対象の調査結果を発表した。1000平方メートルを超える物件を対象とし、各種のデータを突き合わせて正確な把握を試みた。これによると、現在、フランスには1億7300万平方メートルのオフィスがあり、うち8900万平方メートルが企業向けの賃貸物件だが、その中で900万平方メートル強が空室となっている。2年を超えて空室が続いている物件は200万平方メートルあり、うち120万平方メートルがパリ首都圏に位置している。
オフィスのだぶつきは構造的な要因に由来しているとの指摘もある。2007年以来で、人口の増加率が鈍化しており、それと連動して、サービス業のオフィス需要も鈍化しているが、2010年代には低金利を背景にオフィス建設が進み、需給のバランスが崩れている可能性があるという。
オフィスを不足する住宅に転換するのが調整手段として有効と考えられるが、もともと用途が異なり、設計のあり方も異なる物件を転換するのは必ずしも容易ではない。地元自治体との協議が今後は盛んになると予想される。