司法界の性的暴力、労組が報告書を公表
司法官組合SM(左派系)は5日、司法界における性的暴力に関する調査結果を発表した。司法界内の事案の発生と隠蔽圧力を問題視し、一連の改善を法務省に対して呼びかける内容となった。
この調査は、2024年初頭に、9000人の司法官に対して質問状を送付し、その回答を分析する形で行われた。525人から完全な回答を得た。その規模からいって、現実を忠実に把握する調査であるとはいえないが、性的差別や暴力が司法界に根強く残っていることをうかがわせる結果が得られた。
回答者のうち、「性的な言動や性的差別の被害を受けたか、目撃等をしてそのような事案を知っている」と答えた人は42.6%に上った。「性的暴力又は性差別的暴力」の被害を自ら受けたと答えた人は全体の9.14%、目撃等をしたことがあると答えた人も15%に上った。
司法界では女性の進出が進んでいる。1982年に女性が占める割合は28.5%に過ぎなかったが、現在では71%に達している。しかし、性的暴力・性差別的暴力の被害を受けたと答えた人の82.5%が女性であり、その一方で、加害者の方は、91.6%が男性だった。70%を超える加害者が被害者に対する上司等の立場にあった。
報告書は、自らが襟を正さずに性的暴行事件を裁くことができるのかと指摘し、性的暴行等の事案が通報されないままになることが多い点を問題視。事件の予防や、検出する体制の強化、被害者の保護(組織における立場や収入等の保障、心理的な支援など)を提供する体制作りなどを提言した。