第十二回:にきびのお話
日米欧の医療レベルはいずれも世界最高峰ですが、細かく見ると日本の方が進んでいたり、欧米の方が進んでいると思われる分野がいくつかあります。
欧米の方が進んでいると思われる分野の一つがにきび治療です。2008年に日本で「ディフェリン」という塗り薬が発売されました。これにはビタミンA誘導体が含まれており、従来の抗生物質主体の治療法とは違う機序によりにきびを治療できる点で画期的と言えます。実はこの薬1995年頃にフランスで初めて発売になったそうです。この薬以外にもトレチノイン、タゾラテン、アゼライン酸などは欧米ではとてもポピュラーですが、日本では一部の自由診療クリックでしか取り扱われておりません。トレチノインはシミの治療にも使われていますが、アメリカでは20年以上前からあるそうです。また、生理前に悪くなったり、思春期を過ぎてからあごの周りを中心に出現するような「大人のにきび」に対してはピルが使用されることも日本ではあまり行われていない治療法です。
日本では混合診療(保険と自費診療を混ぜる)が原則禁止されていますので、上記のような日本で未認可の薬剤を使う場合は、診察料や他に組み合わせる薬代(抗生物質等)も自費になってしまいます。にきびは寿命に影響しないという点で、癌や心臓病のような深刻な病気ではありませんが、かかっている人の悩みは案外深いものです。これらの薬も早く日本でも認可されることを願います。