HTLV-1のはなし
HTLV-1とはヒトT細胞白血病ウイルス(Human Tcell Leukemia Virus)の略で、白血病やリンパ腫を引き起こす可能性のあるウイルスです。
このウイルスの感染者はどういうわけか日本、特に九州において比較的多くみられます。日本に多いといってもおそらく日本全体では1%以下の人しか感染していないと推定されていますが、フランスなどではずっと少ないのでほとんど注目されることはありません。
そして、たとえこのウイルスを保持していても生涯で白血病などを発症する確率は数パーセントと考えられています。とはいえ、白血病などの原因になりうるのですから感染しないに越したことはありません。このウイルスの感染経路は輸血、性交、母子感染です。中でも哺乳による母子感染の確率が高く、日本では妊婦検診においてこのウイルスの感染の有無がチェックされます。
そして、もし感染していることが判明した場合、哺乳(特に生後4ヶ月以上にわたる)を避けることによって子供に感染させてしまうことをかなり防ぐことができるのです。
フランスではこのウイルスの感染率がかなり低いので、必ずしも妊婦検診の項目に入っていないようです。血液検査で簡単にわかるので、気になる方は担当の産科医に聞いてみるといいでしょう。