今週のフランス

低所得者向けの医療保険加入者、専門開業医による診察拒否が多数

人権擁護庁等が行った調査結果が29日に発表された。低所得者向けの医療保険の加入者に対して、専門医が診察を拒否するケースが多いことが改めて確認された。

低所得者が補足健保の適用を受けられることを目的とする援助制度は2種ある。一つは、月額収入が746ユーロ未満(独身者の場合)に、国が全額を負担して提供する補足健保CMU-C。もう一つは、月額収入が746-1007ユーロの人に提供されるACSと呼ばれる制度で、こちらは保険料の一部が国により肩代わりされる。人権擁護庁などが実施したブラインド調査によると、歯科では9%、産婦人科では11%、精神科では15%の開業医が、これらの援助制度の適用を受けている人の予約受付を拒否した。拒否する医師の割合はパリでは特に高く、例えば歯科医の場合では38.2%に上った。拒否の理由としては、「第2セクター」に分類される医師(基本健保の払戻額を超える医療料金の設定が認められる)の場合、CMU-Cなどの加入者については医療料金の超過設定が禁止されるため、儲け損ないを嫌って、患者を受け入れないという事情があるものと考えられる。また、援助制度の適用者には、現物給付に応じなければならない(診察料を患者から取らずに、健保公庫に請求する)という規定があり、手続きの煩雑さなどが敬遠されているとも考えられる。調査では、外国系である場合の反応も調べたが、CMU-Cの加入者でアフリカ系の名前であると、例えばパリでは、歯科医の45%が拒否したという結果が得られており、さらにハードルが高くなることが判明した。

なお、11月1日からは、CMU-CとACSを統合した新制度CSSが発足することになっている。CMU-Cの名前をCSSに改め、補助金制度だったACSを、減額済みの保険料を支払わせてCSSに加入するという形にして、CSSに一本化する。受益者数は950万人から1200万人となる見込み。名称の変更により医療拒否の問題が解消されるとは考えにくい。

 

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