今週のフランス

カラチ事件:手数料問題の刑事事件公判が開始に

パリ地裁で7日、カラチ事件に関連して会社資産横領及び秘匿などの容疑での刑事事件裁判が始まった。政財界の被告人6人が起訴された。

カラチ事件とは、2002年5月8日にパキスタンの首都カラチで発生したテロ事件で、潜水艦輸出契約の遂行に係り現地に派遣されていた軍艦建造のDCN(現ナバル・グループ)の従業員を含む14人が爆発により死亡した。事件の真相は現在も捜査中だが、この事件に絡んで、DCNが作成した報告書の内容が2008年に報じられ、ここで今回の裁判の対象となる手数料の授受の問題が浮上した。この報告書は、問題の輸出契約に絡んで支払われる約束だった手数料を、1995年に発足したシラク政権が廃止し、これに不満を抱いたパキスタン側の勢力がテロを手配したとする仮説を提示している。テロの背景についてはまだ明らかになっていないが、この報告書が発端となり、手数料の件について別途捜査が行われ、それが今回の起訴に至った。

もとの契約は1994年に結ばれたが、この契約と、サウジアラビアへの武器輸出契約4件に係り、総額で3億2700万ユーロ相当の手数料が支払われることが約束され、実際に一部が支払われた。当時はバラデュール内閣の末期で、1995年の大統領選に出馬を決めたバラデュール首相は、所属する保守与党UMPの政治資金をシラク氏(1995年の大統領選で当選)に握られていたことから、選挙資金の確保を必要としていた。そこで、多額の手数料を支払う算段を整え、その一部を、仲介人を通じて受け取り、自らの選挙資金としたのだという。今回の裁判では、当時にバラデュール首相の選挙参謀を務めたバジル氏、当時にレオタール国防相の官房スタッフとして手数料の手配に関与したドヌデュードバーブル氏、当時にサルコジ予算相(後の大統領)の官房スタッフとしてこの件に関わったゴベール氏、そして、DCNの責任者だったカステラン氏、さらに、手数料の仲介人を務めたレバノン系実業家のエルアシル氏とタキディン氏が、それぞれの責任を問われて起訴された。他方、バラデュール元首相とレオタール元国防相はこの件で、閣僚としての犯罪を裁く特別法廷である共和国法廷(CJR)による別途捜査の対象となり、最近にようやく、起訴の請求がなされたばかりとなっている。

 

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