今週のフランス

タピ事件:パリ地裁、被告人全員に無罪判決

パリ地裁は9日、タピ事件の判決を言い渡した。ベルナール・タピ被告人をはじめとする被告人全員に無罪判決を言い渡した。

ベルナール・タピ氏は実業家で、ミッテラン政権下で閣僚も務めた。この事件では、ベルナール・タピ氏と国の間で2008年に争われた仲裁裁判を巡る不正が争点となった。タピ氏は、保有していたアディダス社(1992年)の売却を担当した国営クレディリヨネ銀行が転売で不正な利益を取得したと主張、長年に渡り国に賠償を求めて争っていたが、2007年に仲裁裁判という手段を用いて決着を図ることで国と合意、その結果、2008年に4億ユーロを超える賠償金を得ることに成功した。後にこの仲裁裁判で審判員を務めたエストゥー氏とタピ氏の当時の弁護士ラントゥルヌ氏の間につながりがあったことが判明、その事実が事前に申告されていなかったことから、仲裁裁判の結果は民事訴訟を経て取り消され、賠償金の返還命令がタピ氏に下された。この件は2016年の最高裁判決で確定しているが、タピ氏はまだ賠償金を返還していない。

仲裁裁判における規則違反を巡っては、捜査当局が刑事事件として捜査を開始し、5年越しの捜査を経て、今回の裁判に至っていた。検察側は、タピ氏らが計画的に仲裁裁判による解決が図られるように手配し、不正を通じて国から多額の賠償金を詐取したと見て、詐欺の容疑でタピ氏を起訴。タピ氏以外に、審判員のエストゥー氏、タピ氏の当時の弁護士らが起訴された。また、国の側で経済相官房長としてこの案件を担当したリシャール氏(通信大手オレンジの現CEO)も詐欺共犯の容疑で起訴されていた。裁判所は、仲裁裁判による解決を図るということがそれ自体、欺瞞的であるとは言えないと認めて検察側の主張を退け、タピ氏らが仲裁裁判の利用を取り付けるべく不正を働いた証拠も提示されなかったとして、タピ氏をはじめとする被告人全員に無罪判決を言い渡した。

検察は控訴することができる。タピ氏はがんの治療を受けており、判決には出席しなかったが、「最良の化学治療」だと無罪判決を歓迎した。被告人のうちリシャールCEOは、無罪判決を得てオレンジのCEO職に留まることが可能になった。

 

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