今週のフランス

アスベスト問題:最高裁、発症懸念の慰謝料の支給拡大の判決下す

最高裁は5日、就労時にアスベストへの暴露があった者に対して、発症の懸念に対する慰謝料を請求する権利を広く認める判決を下した。EDF(仏電力)の元従業員の上告を認める形で、判例を修正した。

アスベストの発がん性は1973年から知られていたが、フランスでは1997年になりその使用が禁止された。アスベスト被害の補償は、国が定めたリストに登録された企業の従業員を対象に、公的基金が支援を与える形で行われている。アスベストへの暴露に伴う疾患は、長い潜伏期間を経て発症することがあるため、発症していない者にも、発症の恐怖に伴う精神的打撃に対する慰謝料として給付金が支給されることになっている。ただ、リストに登録されていない企業の従業員にはこの支給はなされないため、リスト外であるEDFの火力発電所に勤務していた元従業員らが、支給を求める訴訟を起こしていた。最高裁は大法廷を招集して上告審を審議し、重大な疾患に陥る高いリスクが生じさせるアスベスト暴露があったことを証明できる従業員は、リストに登録されている企業の従業員でなくても、当該の慰謝料を請求できると認定し、従業員らの訴えを認めた。大法廷決定は覆ることがないため、今回の判決はそのまま判例として確定する。ただ、実際の慰謝料支給の是非は、それぞれの裁判所の判断に委ねられることになり、最高裁も明確な判断基準を示していないことから、被害者団体などは、補償の是非に関する不公平な状況が今後とも続くことになると問題視している。

 

バックナンバー

kaiin260 100

会員用ログイン

サイト内検索