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2020年予算法案:財政赤字の圧縮努力が小休止

政府は13日、2020年予算法案を諮問機関に提示した。購買力増強を優先し、財政赤字の圧縮努力を小休止する内容となった。

財政赤字の対GDP比は2.2%となり、従来目標の2.1%を0.1ポイント上回る水準に設定された。同比率は2019年には3.1%に上る予定で、これと比べると顕著に低下するものの、2019年の数字は一時的な要因によるもの(競争力・雇用税額控除CICEの恒久的な社会保険料減免措置への鞍替えによる一時的な国の負担増)であり、この影響を除外すると、2019年の数字は2.2-2.3%程度となり、2020年にはほとんど収支は改善しないことになる。「黄色蛍光ベスト」による抗議行動に絡んで政府が決めた170億ユーロ規模の措置に加えて、2020年年頭からの50億ユーロ規模の所得税減税、住民税の段階的廃止に伴う地方税制の見直しなどの影響が出る。レゼコー紙によると、世帯向けの減税措置は総額で93億ユーロの規模となる。また、2020年の経済成長率見込みも、昨春時点より0.1ポイント引き下げられ1.3%に設定されたことで、税収の伸びもその分、小さくなり、これも財政収支に影響を及ぼす。

歳出の伸び率は実質で0.7%となる。政府は、公務員数削減の目標を断念しており、歳出の抑制努力は鈍った。各種税制優遇措置の見直しによる歳出削減効果も7億ユーロ弱と、予定の半分程度に留まる。法人税減税については、2022年時点で税率を25%まで引き下げるという目標は維持されたものの、2020年には、年商2億5000万ユーロ超の大企業について減税幅を小さくして(税率を28%へ引き下げるところを、31%までの引き下げに留める)、努力を求める格好になった。

 

 

極右RN、政権交代の実現に意欲示す

極右政党RNは15日、南仏フレジュス市で夏季集会を開いた。マリーヌ・ルペン党首はこの機会に、2022年の大統領選を意識した政策提言を披露した。「黄色蛍光ベスト」派の主張を取り入れつつ、政権交代を狙える最大勢力となることを目指す考えを示した。党首は具体的には、中流層から始めて課税圧力を引き下げることを提案。水道など生活必需品について少量の消費なら原価並みの料金として消費量が大きくなるほど料金を高めてゆく制度の導入も提案した。ADP(パリ空港会社)や水力発電所の民営化には反対、高速道路については再国有化を掲げた。このほか、配当企業に対する従業員への利益分配の義務の導入、国土の均衡ある開発を目的とする農山漁村フリーゾーン化などを提案した。2020年の統一市町村選については、第1回投票を経て決選投票においては他党との協力に前向きの姿勢を示した。

これとは別に、パリ市議会選挙の世論調査結果が15日に発表された。この選挙では、与党LREMから、公認候補のグリボー氏と、独立系候補として立候補したビラニ下院議員の2人が出て、分裂模様となっているが、ビラニ氏の出馬表明以来で初の世論調査となった今回、支持率はグリボー氏(17%)がビラニ氏(15%)を上回った。支持率首位はイダルゴ現市長(社会党)の24%で、LREMの分裂がイダルゴ市長にとって有利に働いた。

 

グーグル、脱税問題を司法取引で決着

パリ地裁は12日、金融犯罪全国管区検事局(PNF)とグーグルの間の司法取引を承認した。グーグルは約10億ユーロを支払うことを受け入れ、検事局は脱税容疑の捜査を打ち切ることに応じた。

この件では、2016年にグーグルのフランス事務所の立ち入り調査がなされ、税務当局は当初、16億ユーロに上る追徴課税を請求していた。税務当局は、グーグルが、フランス国内で得た収入を、課税率が低いアイルランドの欧州本社に移転する形で脱税を行っていたと認定していた。この件では、行政裁控訴審(今年4月)まで、グーグル側の主張を認めて、追徴課税は不当とする判決を下していたが、グーグルは行政最高裁の上告審を待たずに、刑事事件での訴追で司法取引に応じることを決めた。

グーグルは、5億ユーロの罰金をPNFに支払うことに同意。また、4億6500万ユーロを追徴課税として税務当局に納付することも受け入れた。これにより、税務・刑事ともに一括して係争を解決した。グーグルは税務当局との行政訴訟では控訴審まで優勢で事を進めてきたわけだが、一転して司法取引による包括的解決を選択した。税務当局との係争では、グーグル・フランスを国際税法上の「恒久的施設」と認定するか否かが争われていたが、行政最高裁が上告審において逆転してこれを認定した場合、グーグルの負担はさらに大きくなることが確実だった。グーグルはこれを避ける目的で、司法取引に応じたものと考えられる。また、2018年の法改正で、司法取引の対象が拡大され、脱税も対象に含まれることになったため、利用の道が開かれたという事情もある。

 

仏本土にもピアス病菌の被害、オリーブの巨木が伐採に

南仏アルプ・マリティム県のマントン市にある植物園で10日にオリーブの巨木が伐採された。ピアス病菌(Xylella fastidiosa)の感染が確認され、防染を目的に伐採された。全体が焼却処分となった。近くにある2本のオリーブの木にも同じ処分が施され、監視が継続される。

ピアス病菌の被害は複数の種類の植物に生じる可能性があり、立ち枯れを引き起こすことで知られる。特定の昆虫が樹液を吸うことで木から木へと感染が広がる。近年では、イタリア・プーリア州のオリーブ園に大規模な被害を及ぼしており、特に懸念が広がっている。ピアス病菌には複数の亜種があるが、マントン市の植物園で確認されたのは、プーリア州で被害を出したのと同じpaucaという種類であり、仏本土では初めての確認とあって、懸念は特に大きい。ピアス病菌については不明な点も多く、感染により生じる被害の程度も場合により様々で、対策の立案も難しいのが実情だという。


 

フェラン下院議長に予審開始通告、過去の経営者時代の案件で

フェラン下院議長(LREM)が11日夜に予審開始通告を受けた。ミュチュエルドブルターニュ(補足健康保険)の理事長時代の不正容疑で、リール地裁の担当予審判事から予審開始通告を受けた。予審は、担当予審判事が起訴の是非を決めるために行う裁判上の手続き。フェラン議長はこの通告後、辞任の可能性を否定し、議長職を継続すると明らかにした。

フェラン議長は同日、13時間近くに渡る事情聴取を受けた後で、予審開始の通告を受けた。この事件では、ミュチュエルドブルターニュが、フェラン氏の妻の不動産会社と契約を結び、建物を借り上げたことが問題視されている。2011年1月に理事会がこの契約を結んだ当時、フェラン氏の妻はまだ会社を立ち上げておらず、契約を元手に銀行から融資を取り付けて不動産を購入、ミュチュエルに対して物件を貸与した。この件を告訴した汚職糾弾団体のアンティコ―ルによれば、理事会の役員のほとんどはフェラン氏の妻の会社であることを知らされていなかった。フェラン氏は「不正な利益の取得」の容疑で予審開始を通告された。

この件でフェラン氏は過去に追及を受けており、2017年に閣僚を辞任していた。その後、当局は時効成立を理由に不起訴処分を決定、フェラン氏は下院議長に就任したが、アンティコ―ルは、時効の起算は疑いを当局が察知した時点(2017年5月)とするべきだと主張して再提訴し、予審判事もこの主張を認めて予審開始を決定した。

フェラン議長は、予審開始決定の取り消しを求める請求を起こす構えとみられる。世論の反応次第では、議長が辞任に追い込まれる可能性も残る。

 

ロレアル、美容師の養成に着手

化粧品大手ロレアルは10日、見習い研修センター(CFA)を2020年年頭に開くと発表した。美容師を養成する「リアル・キャンパス・バイ・ロレアル」をパリ14区に開く。

見習い研修制度は、働きながら資格を取得できるいわゆるデュアルシステムの一種で、若年層に提供される。制度の利用拡大を狙って、見習い研修センターの設置に関する規制が先頃緩和され、企業による設立が容易になった。既に、調理師養成のCFAが、関連3社(アコー、コリアン、ソデクソ)の共同事業として設立されており、ロレアルもこれに続く形で自前のCFAの設立を決めた。大学3年次卒業相当の資格を取得できる教育と訓練を提供、10年間で1万人を養成する計画。美容師としての技術に加えて、店舗経営等のノウハウも学び、デジタル技術の活用にも力点が置かれる。

近年は若い世代の美容院離れが目立っており、毎年7000店の美容院が後継者が見つからずに閉店になっているという。ロレアルは270億ユーロに上る年商のうち12%を業務用の製品で達成しており、販路確保のために業界のテコ入れが急務となっていた。

 

仏雇用数、4-6月期も純増を維持

10日発表のINSEE統計によると、4-6月期に民間部門の雇用数は前の期比で4万5800人の純増を記録した。0.2%の増加に相当する。1ヵ月前に公表された速報値が1万6200人分下方修正されたが、堅実な増加傾向を維持した。

公共部門を含めた給与所得者数でみると、4-6月期には5万6200人の純増を記録。純増幅は前の期の10万2600人と比べてかなり小さくなったが、増加傾向を維持した。期末の雇用総数は2540万人(0.2%増)となり、2015年初頭以来で増加を続けている。

4-6月期の数字はINSEEの予測を裏付けるものとなった。INSEEは通年では25万人の雇用増を予想(前年より増分は7万人多い)。失業率は8.3%になる見通し。なお、ACOSS(社会保障会計の上部金庫)によると、現金給与総額は4-6月期に1.1%の増加を記録しており、雇用増が社会保険料の収入増をもたらす流れとなっている。

 

政府、外国での代理母出産に関する通達を準備

フランス政府は、外国での代理母出産に関する通達を準備している。20日には最高裁が、代理母から生まれた子どもの戸籍登録に関する判決を下す予定で、これを判例として、現行法令の適用方法を行政機関に対して指示する内容になるという。

フランス国内では、代理母出産は法律により禁止されており、近く国会審議が始まるバイオエシックス改正法案においても、政府は代理母出産に関する法令修正を明確に除外している。他方、外国での代理母出産の取り扱いについては、生まれた子どもとの親子関係を法的に確立することが困難で、これが以前から論議の対象となっている。現行法令では、精子提供者が父親として認められるが、母親は実際に出産した者となり、父親の夫人は養子縁組を経ないと「母親」として認められない。しかし、その手続きには時間がかかり、また困難も多いことが問題視されている。具体的な案件を巡る訴訟の一環で、最高裁の付託を受けて欧州人権裁判所が去る4月10日に下した判断は、父親の夫人が母親として認められる権利が保障されることを要する、と定めたが、その方法については、自動的な戸籍登録以外にも方法があり得ると指摘しており、最高裁がこれを踏まえてどのような判断を示すかが注目されている。仏政府は判例を元に、既存法令の適用の枠内でこの問題に一応の解決を与える構えだが、バイオエシックス改正法案による一連の規制緩和(すべての女性に人工授精を受ける権利を保障する、等)に反対する勢力は、代理母出産をなし崩しに認めることにつながるとして反発を強めている。

 

エーグル・アジュール航空に数社が買収提案

倒産した仏エーグル・アジュール航空に合計で14件の買収提案及び関心表明が提出された。うち正式の買収提案は国内企業からの4件という。裁判所は16日までに決定を下す見通し。

各社はオルリー空港等の発着枠に関心を抱いているが、買収提案はほとんどが部分的なものであるという。うち、報道によれば、エールフランスは、中距離便(アフリカ及びレバノン発着)事業の買収を提案。フランス勤務者の7割に相当する600人近くをエールフランス・グループの待遇にて引き取ることを約束したという。なお、この報道を嫌気してか、エールフランスKLMの株価は9日、9.7%の急落を記録した。このほか、エーグル・アジュールの20%株式を保有していた実業家のウア氏は、長距離便(2機のA330を保有)事業と債務を除くエーグル・アジュールの全体の買収を提案。長距離便事業には、デュブルイユ・グループ(傘下にエア・カライベスなど)が買収に関心を示している。また、エールフランス傘下だったHOP(地方航空)をかつて経営したゲラン氏が、国からの4000万ユーロのつなぎ融資獲得を条件に、買収提案を提出したという。外国勢(イージージェット、ブエリングなど)も関心を表明したが、具体的な買収提案は提示していないという。

 

猛暑による死者数、低めに留まる

政府機関の集計によると、この夏の猛暑が原因で死亡した人の数は推定で1435人となった。2003年の猛暑の際には1万9490人が死亡しており、それと比べると10分の1の規模に留まった。

この夏には、6月から7月にかけて、全国で最高気温の記録が相次いで更新された。エロー県内では6月28日に46度という仏全国の観測史上最高記録を更新。それ以外の場所でも、40度を超える気温が全国で観測された。それでも、猛暑が原因とみられる死亡者数は低めに留まった。

この夏には猛暑が2回に渡り到来したが、第1陣では567人が、第2陣では868人が死亡した。死亡率の上昇分は9.1%となったが、これは、2015年(10.1%)や2018年(15%)と比べても低めだった。死亡者を年齢別にみると、やはり75才以上の高齢者が974人と多い。65-74才の層では、第2陣での死亡が多いのが目立った。

政府はこの結果について、猛暑対策プランの効果が出たものだとして歓迎した。ただ、職場(主に屋外)で就労中に死亡した人が10人余りに上っており、対策の必要性が浮上している。

 

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