今週のフランス

フランスから見た最新ニュース。

ksm 提供

マクロン大統領、ベイルートを訪問

マクロン大統領は6日、レバノンの首都ベイルートを訪問した。市内の港湾地区で発生した爆発事件から2日後に、外国の首脳として初めて同国を訪問した。大統領は厳しい調子でレバノンに改革を求めた。

4日に発生した事件では、港湾の倉庫に貯蔵されていた硝酸アンモニウムが爆発したと考えられている。少なくとも135人が死亡、5000人程度が負傷し、爆風のため市内の半分程度の地区で建物の倒壊や損傷などの大きな被害が出た。被災者は30万人に上る。爆発の原因になった2700トンという大量の硝酸アンモニウムは、6年前から港湾内の倉庫に放置されていたとみられており、それ自体が破綻国家レバノンを象徴する事実でもある。

マクロン大統領は事故現場を訪問し、市民たちと接する場面もあった。大統領は、レバノンが長らく、政治、倫理、経済、金融上の危機に直面している、と語り、力強い政治的なイニシアチブが求められていると言明。足元の人道援助を超えてレバノン支援を行う上で、汚職排除をはじめとする政治的な改革が前提になるという考えを強調した。大統領はまた、9月1日にレバノンを再度訪問すると予告。その際にレバノンの指導者らが約束を守らないなら、しかるべき決定を下す、と述べたが、具体的な対応については明言しなかった。レバノンはフランスの保護領だった過去があり、大統領に接した市民たちからは、現政権への絶望から、フランスがレバノンを取り戻し、立て直してほしいと望む声も聞かれた。マクロン大統領はその後、アウン大統領、ディアブ首相、ベリ国会議長と会談。また、市民社会の代表や政党のリーダーらと会談した。

ラポストのパリ中央郵便局、来年にリニューアルオープン

ラポスト(郵便)は、子会社ポスト・イモを通じて、保有不動産の活用を進めている。その一環で、パリのルーブル通りにある旧中央郵便局の建物は、2021年にホテルなどが入居する複合施設に生まれ変わる。

パリの旧中央郵便局は1880年代に建設された、第3共和政時代を代表する建物。2015年に改修工事のため閉鎖された。年中無休・24時間営業の郵便局として、電報電話や郵便事業の黄金時代を象徴する施設でもあった。建物は3万2000平方メートルと広大で、往時には郵便局に加えて仕分け所など関連部署が入居していた。リニューアルにおいては、かつてと同様、ルーブル通り52番地に郵便局が開かれるが、それに加えて、店舗や飲食店が入居、5つ星のホテルも開かれる。屋上のテラスからは、パリの中心地らしい眺望が楽しめる。改修事業はブイグ建設が請け負い、費用は1億2000万ユーロに上る。

ポスト・イモは、この案件を含めて、同時に複数の改修計画を進めている。ラポストは、郵便全盛期の1970年代までに、各県の県庁所在地に自前の建物の中核郵便局を整備した。いずれもそれぞれの時代を反映した建造物であり、歴史的な価値もあるが、インターネット時代を迎えて郵便の需要は減り、仕分け所のような機能は郊外に移転したこともあって、事業面では無用の長物と化してもいる。建物の外観を保存しつつ、現代に即した用途に再開発するのが目標で、地方都市においては、ラポストが優先事業として位置付けるシルバー経済の発展をにらんで、高齢者向け施設に転用するプロジェクトなども進んでいる。

政府、ワイン業界に7600万ユーロの追加支援を決定

カステックス首相は5日、サンセール地方(シェール県)を訪問した機会に、ワイン業界に対する追加支援を発表した。7600万ユーロの追加支援を行い、5月に発表した支援策と加えて合計2億5000万ユーロ近くの規模へ引き上げる。具体的には、蒸留による在庫処分の支援に5600万ユーロを追加で支出。また、製品の貯蔵支援を1500万ユーロから3500万ユーロへ引き上げる。ワイン業界は収穫を目前に控えて、積み上がった在庫を整理しなければ新たな収穫を受け入れて生産を開始することができない状況に陥っており、蒸留による転用(バイオエタノール燃料や香水、手指消毒用のジェルなど)と、貯蔵能力の確保が課題になっている。政府は金額を上乗せして、製品の3割から4割を輸出する主要な輸出産業であるワイン業界を支援することを決めた。

ワイン業界の推計によると、新型コロナウイルス危機による打撃は少なくとも15億ユーロに上る。蒸留支援措置により260万ヘクトリットルの在庫が処分できるが、業界側は300万-350万ヘクトリットルの処分が必要と見ており、支援は不十分とみる向きもある。

仏国債庁(AFT)、モルガン・スタンレーの処分決める

仏国債庁(AFT)は8月4日から3ヵ月間に渡り、米大手銀行モルガン・スタンレーのSVT(国債プライマリーディーラー)としての資格を停止した。国債価格の操縦で同行がAMF(仏金融市場監督機関)から2000万ユーロの罰金処分を受けたことを踏まえて、AFTとしての処分を決めた。

モルガン・スタンレーは、2015年6月に、先物取引により仏国債の価格を吊り上げた直後に保有する国債を売却することで、市場の他の当事者らに不利益を被らせたとたとして、去る12月の時点でAMFにより罰金処分を受けていた。モルガン・スタンレーはこの処分を不服として控訴している。

AFTは、AMFの処分を根拠として、SVTの資格停止の処分を決定。SVTは発行時に国債を引き受け、市場においてはマーケットメイクの役割を担う指定業者で、全部で15銀行が指定を受けている。AFTは、仏国債取引の流動性の確保に貢献する義務を負うSVTとして、モルガン・スタンレーの行動は不適切だったと認定。2017年6月にAMFによる調査が開始された際に、その旨をモルガン・スタンレーがAFTに届け出なかったことも問題視した。AFTはさらに、モルガン・スタンレーがSVTの資格を回復するには、同行がAFTに約束した是正措置を履行することが条件になるとも付け加えたが、詳細は明らかにしなかった。モルガン・スタンレーは、AMFの処分については控訴中であることを再確認した上で、AFTとの密接な協力の下で是正措置の履行に努めるとコメントした。

認知症患者を受け入れる新施設、南仏ダックス市に整備

ルフィガロ紙は4日付で、認知症の患者を受け入れるユニークな新施設について報じた。小さな村を模した開放型の施設を整備し、患者には通常の生活に近い形で過ごしてもらうことになる。

この施設「ビラージュ・ランデ」は、ランド県ダックス市のはずれに整備された。地元のランド県が各方面の協力を得て、全5ヘクタールの用地内に整備。同県の特徴的な松林の中に整備され、店舗やカフェなどを模した建物が集まる中心街と、それを囲むようにして4地区を作り、住宅を整備した。一つの住宅は300平方メートルで、それぞれに7,8人が入居。住宅には「主人」がいて、入居者のお目付け役を果たすが、起床時間や消灯時間といった規則は設けず、基本的に自由に生活してもらう。治療を兼ねて「買い物」などのタスクを適宜設定し、「中心街」の店舗などがそのために利用される。主体的な生活を送ることにより、病状に良好な影響を及ぼす効果が期待できるという。

入居費用は通常の高齢者施設(EHPAD)と変わらず、月額1900ユーロ(低所得者の場合は223ユーロから)に設定されている。新しい治療法を導入する試験的な施設として整備され、入居が開始されたばかりだが、将来的には120人を受け入れる計画。

極右RN、候補選定委員会から有力者が除外に

極右政党RN(旧FN)で候補選定委員会の人事異動が行われていたことが報じられた。マリーヌ・ルペン党首による反対派外しの人事とみられている。

候補選定委員会は、各種の選挙において擁立する後任候補の人選を検討する機関で、戦略的な重要性を帯びている。報道によると、欧州議員のコラール氏とラポルト氏、サントル・バルドロワール地域圏議会議員のパリス氏、ベイ元幹事長、ブルゴーニュ・フランシュコンテ地域圏議会議員のボーリュー氏、マルセイユ市7区の区長を務めたダンジオ氏の6人が委員職を解かれた。

この中でも、ニコラ・ベイ元幹事長は、キリスト教のアイデンティティを重視する党内保守派に属し、党を離れたマリオン・マレシャル元下院議員(マリーヌ・ルペン党首の姪)と方向性が近いとみなされている。マリーヌ・ルペン党首は、マレシャル氏が復帰し、主導権を握られることを特に警戒しており、危険そうな人材の影響力をそぐために、今回の人事に踏み切ったと考えられる。党内では、マリーヌ・ルペン党首も市議を務めるエナン・ボーモン市の関係者(ブリオワ市長、ビルド助役兼下院議員など)が幅を利かせているといい、反対派のパージを繰り返してきた党の従来のあり方が変わっていないことを印象付けている。

Towt、本格的な帆走貨物船の建造を準備

ブルターニュ地方のベンチャー企業Towtは、大型の帆走貨物船の建造計画を進めている。2021年中の就役を目指す。

Towtは2011年に設立された。現在は3隻の帆船(積載量が各40、80、10トン)を用いて貨物海運のサービスを提供している。年商は30万ユーロ。同社は、事業のスケールアップを図る目的で、全長78メートル、積載量1000トンの本格的な帆走貨物船の建造計画に乗り出した。2021年中に初号艇を完成させ、2024年をめどに4、5隻からなる船隊を構成する計画。新型の帆走貨物船は、ナント市に本拠を置くH&T社が設計。10ノットでの航行が可能で、建造費用は1000万-1200万ユーロがかかる。風力を推進力とするが、船上の各種のエネルギー需要は水中のプロペラの回転による発電により賄う。建造委託先は欧州対象の入札により10月までに決定する。資金調達は現在進行中だが、環境配慮型の輸送力確保に関心を持つセモワ(チョコレート)、ベルコ(コーヒー)、ロングトー(ラム酒)、エティック・ドリンクス(ワイン)が既に用船を約束している。

政府、補足健保から特別拠出金を徴収へ

政府は、補足健保を対象に特別拠出金を徴収する方向で、調整を進めている。今秋の社会保障会計予算法案に盛り込まれる見通し。

補足健保は、公的健康保険がカバーしない分を対象に保障を提供する健康保険の2階建て部分。民間の保険会社や共済保険機関などが契約を提供している。新型コロナウイルス危機においては、通常の医療を見合わせる人が多く出たため、補足健保による負担分は大幅に減少しており、補足健保はその分を儲けた計算になる。政府の試算によれば、新型コロナウイルスに伴う支出抑制分は総額で26億ユーロに上る。政府はそのうち一部を特別拠出金として徴収し、危機に伴い巨額の赤字に見舞われた公的健康保険会計(2020年に310億ユーロの赤字が出る見通し)に対して応分の貢献をさせることを計画しているという。

ただ、その実現に向けてはいろいろと考慮すべき点も多い。補足健保に「儲け」が出たとしても、それは実際には見合わせ分に過ぎず、その反動で医療支出は今後に大きく増えることが考えられる。既に、歯科治療などは大幅な増加を見せており、また、医療見合わせにより重症化するケースが増えるとしたら、最終的な医療支出はかえって大きくなる可能性もある。それに加えて、団体加入の補足健保契約の場合、加入者である企業に対して、危機を踏まえて保険料の納付延期に応じたところも多く、延期分を最終的に回収できないリスクも生じている。こうしたことから、実際の拠出金額をどのように設定するかは微妙な問題になる。政府は、徴収を2段階(2020年末と2021年末)で行うことで、様々な要因を加味して最終的な拠出金額をより公平な額とするよう配慮する方針という。拠出金の徴収を求められた保険会社等が、それを保険料引き上げに転嫁しないようにすることも課題となる。

仏経済成長率、4-6月期にマイナス13.8%(前の期比)

7月31日発表のINSEE統計によると、フランスの経済成長率は4-6月期に前の期比でマイナス13.8%となった。戦後で最大の後退幅を記録した。

経済成長率は、2019年10-12月期にマイナス0.2%と後退に転じていた。2020年の1-3月期には、新型コロナウイルス危機の影響を受けて、マイナス5.9%と大きな後退幅を記録していた。外出制限の期間が最も大きく重なった4-6月期には、さらに後退幅が大きくなった。ただ、INSEEはこれまで、4-6月期の成長率はマイナス17%に上る恐れがあると予想しており、それに比べると発表された数値は小さめとなった。それでも、同期のドイツ(マイナス10.1%)や米国(マイナス9.5%)と比べると、フランスの後退幅は大きい。

4-6月期には、個人消費支出が前の期比で11%の後退を記録。前の期の5.8%減に続き、2四半期連続で後退した。4-6月期には、平時に比べて個人消費支出が35%低い水準に低迷した。ただ、外出制限の終了後には顕著な回復を見せており、6月には、危機直前の2月の水準まで復帰した。他方、輸出は4-6月期に前の期比で25.5%の大幅後退を記録。1-3月期の6.1%減と比べてさらに後退幅が大きくなった。これは5四半期連続での後退でもある。4-6月期の経済成長率における外需の貢献度はマイナス12.3ポイント分となっており、後退のかなりの部分が外需に由来していることになる。ちなみに、4-6月期の輸入の減少率は17.3%と、輸出の減少率よりも小さく、貿易赤字は5月には71億ユーロと、前月から20億ユーロの拡大を記録。過去最大だった2017年1月の74億ユーロに迫る数字となった。輸出の柱の一つである航空機産業が新型コロナウイルス危機で甚大な打撃を受けていることから、貿易収支の悪化は今後も続くとみられる。

今後の景気回復の足取りは、個人消費支出がどの程度回復するかにかかっている。外出制限に絡んで、家計が消費に回せずに積み上げた貯蓄資金は750億ユーロに上るともみられており、それが順調に消費に振り向けられるとしたら、景気回復を加速する要因となることが期待できる。ただ、危機の影響を受けて雇用情勢は芳しくなく、家計が先行きの懸念を強めて貯蓄を維持する可能性も高く、先行きへの信頼感の回復が課題になるものと考えられる。

新型コロナウイルスの感染拡大、マスク着用の義務付けが強化に

フランスでも新型コロナウイルスの感染が拡大傾向にある。新たな感染者の確認数は、6月中旬に増加に転じており、7月下旬には増加傾向が加速している。7月27日から31日までの5日間では、確認数が5970人となり、1日平均では1000人を超えた。人口10万人当たりの新規感染者数(1週間)で示す感染率は10を超える勢いで、過去3週間で実に78%の上昇を記録した。感染が特に目立つマイエンヌ県では、感染率は143に達している。

感染者数の増加は、検査を幅広に行うようになったこととも関係がある。検査数の増加に伴い、無症状の感染者も目立ってきた。検査を受けた人に占める無症状者の割合はこの数週間で65%程度で推移しているが、陽性者に占める無症状者の割合は50-55%で推移している。これは、20-29才と若い層の感染率が、全体と比べて2倍高いという状況とも関係があり、症状が出にくい若い世代の感染者から、リスクの高い人々へ感染が拡大するリスクも懸念されている。

感染再拡大の兆候を受けて、政府は7月31日に、県知事に対して、マスク着用義務の強化を決める権限を付与すると発表。これを待たずに、ノール県知事は、リール市内の数ヵ所の地区について、屋外の公共の場所でマスク着用を義務付けることを決定。この措置は8月3日深夜からに施行される。同様の措置は、感染が特に目立つマイエンヌ県内の69市を含み、一部地区での導入が本日から始まる。

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