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政府、新型コロナワクチンの接種について発表

カステックス首相は3日に記者会見を開き、新型コロナウイルスワクチンの接種キャンペーンについて説明した。

ワクチン接種キャンペーンは1月に開始される見通し。最初は、高齢者施設において、入居者とスタッフを対象に実施する。ファイザー・ビオンテック社製のワクチンが用いられる。100万本が発注されており、対象者に十分な数が確保されている。続いて、2月から3月にかけて、1400万人を対象に、アストラゼネカとモデルナの各社が開発製造のワクチンを用いた接種キャンペーンが実施される。75才超の高齢者から始めて、65才超とリスクの高い医療関係者に拡大される。次がそれ以外の層を対象とした一般向けキャンペーンとなり、来春以降に入荷に応じて実施される。

カステックス首相は、2億本のワクチンを手配済みだと説明。国民のすべてに接種を行うのに十分な量が確保されると強調した。ワクチン接種は義務化せず、無料で提供する。国民の間にワクチンに対する懸念が根強くあることについては、健康障害を報告・把握する体制を一段と強化し、情報を全面的に開示することを約束。また、免疫学者のアラン・フィッシャー氏を座長とする委員会を設置し、科学者や医療関係者、自治体や市民社会の代表などを交えた協力体制を実現することを目指すと説明した。

首相はまた、現状で、新型コロナウイルス感染症による集中治療室の患者数(3500人弱)が、5月11日の前回ロックダウンの解除時よりも多いことを挙げつつ、感染予防の努力を徹底することの重要性を強調。クリスマス期間の私的会合については、大人6人(子供は数えず)を上限とするよう呼びかけた。

配車サービス等の労使関係に関する報告書が提出に

配車サービスやフードデリバリーなどプラットフォーム型の就労形態に関する報告書が2日、政府に提出された。この報告書は、政府の依頼を受けて、最高裁社会問題法廷の筆頭判事を務めたジャンイブ・フルアン氏がまとめた。

ウーバーなどのプラットフォームは、自営業者を斡旋するという建前を採用しているが、その裏面として、従業員としての保障を得られない不安定な就労者を増加させることが問題視されている。政府はこの問題で規制導入を計画しており、その参考に資する目的で1年前にこの報告書の作成を依頼した。

報告書は、現状維持は選択肢にならないことを確認した上で、プラットフォームに従業員として大量に採用させることは現実的ではないとして退け、従業員と自営業者の間の中間的な地位を定めるという案についても不都合が多いとして退けた。報告書はその上で、一案として、協同組合や「ポルタージュ」と呼ばれる、派遣会社にも似て自営業者を束ねた形の会社組織を設立し、就労者をその従業員とすることで社会保障等の一連の保障が適用されるようにすることを提案。それによる費用の増分を利益の分配のあり方を見直すことで捻出することを提案した。

政府は報告書を叩き台として、関係者らを集めた協議を年内に開始すると予告。政府は、モビリティ法に含まれた授権条項により、来年4月までにこの案件で行政令(オルドナンス)を通じて法令の枠組みを整備することを認められており、協議を経て大方の納得を得られる解決法を探る考え。

ジスカールデスタン元大統領が死去

バレリー・ジスカールデスタン元大統領が2日に死去した。94才だった。

元大統領は9月以来、体調を崩して入退院を繰り返し、11月半ばにはトゥール市の病院に入院した。新型コロナウイルスにも感染し、高齢もあって回復に至らなかった。

元大統領は1926年に独コブレンツ市で生まれた。第1次大戦後にフランスの統治が続いていた地域で生まれた。元大統領は戦後、理工科学校(ポリテクニーク)からENA(国立行政学院)に進み、財務省監察総局に入るというエリートコースを進み、1956年にはオーベルニュ地方から下院議員に初当選。1959年にドゴール政権下で財務閣外相として入閣。1969年から1974年までポンピドー政権で財務相を務めた。ポンピドー大統領の死去に伴い、1974年に行われた大統領選挙で当選。ドゴールからポンピドーと続いた右派政権の下で頭角を現し、中間層を糾合して支持基盤を作り、右派を切り崩して勝利するという新たな道を切り開いた。48才という若さで大統領に就任したのも型破りだった。1981年までの任期中に、オイルショックなど逆風も吹く中で、内政においては社会の近代化を推進。妊娠中絶の合法化や国民皆保険制、協議離婚制度の導入、18才からの投票権の付与など、近代的な政策を実現することに成功した。外交では、同じ時期に就任したドイツのシュミット首相と結んで、独仏を推進力とする欧州建設を進めた。その後も、信念のある親欧州派としての立場は終生、変わることがなかった。

国民からはエリート臭のある冷たい人物として敬遠されたこともあって、1981年の大統領選では社会党のミッテラン候補に敗れ、再選はならなかった。この時、「フランスに幸運あらんと望む。さようなら」と述べて立ち去るというテレビ演説を放送、これはジスカールデスタン大統領といえばこの映像、というほど人々の記憶に残る場面となった。

法定最低賃金(SMIC)、規定通りの改定幅になる模様

1月1日付でなされる法定最低賃金(SMIC)の年次改定について、有識者委員会の答申が1日付で労働省に提出された。規定通りの改定幅に留めるよう勧告した。

SMICは現在、時給で10.15ユーロ、月額(週35時間でフルに就労の場合)で1539.42ユーロ(いずれも現金給与総額ベース)となっている。規定では、毎年、インフレ率(所得下位20%の世帯の消費構成を踏まえて算定)に平均賃金上昇率の2分の1を上乗せした率にて増額がなされることになっているが、政府はこれに一定の率の上乗せを別途決めることができる。有識者委員会は、新型コロナウイルス危機を受けて雇用懸念がある中で賃金を過度に引き上げると雇用破壊を招く恐れがあると指摘し、追加の上乗せを決めずに規定の引き上げ幅に留めるよう勧告した。まだすべての統計値が出揃っていないが、有識者委員会は、0.99%の改定幅になるとの暫定値を示した。これは前回の1.2%と比べて小さくなる。

有識者委員会はさらに、SMICの制度改革の必要性を改めて指摘。現行制度においては、物価上昇分の吸収が保障され、さらにそれ以上の購買力増強が認められる形になっているが、委員会は、インフレ率並みの引き上げに留めるか、引き上げ保障の制度そのものを廃止し、政府が政策上の判断から改定幅を任意に決める形にするか、いずれかが妥当だとの見解を示した。

労組はそのような改正には強く反対しており、政府に対して、景気刺激をにらんでSMICの追加引き上げを決めるよう要求している。

HAS(保健高等機関)、新型コロナワクチンの接種について勧告

新型コロナウイルスワクチンの接種キャンペーンについて、HAS(保健高等機関)は11月30日に意見書をまとめて公表した。ワクチンの確保できる量に制約があることから、優先順位を設定して段階的にキャンペーンを展開するよう勧告した。

具体的には、第1段階として高齢者施設(EHPAD)の入居者75万人と、同施設の職員10万人弱を対象とすることを勧告。高齢者施設の入居者は新型コロナウイルス感染症で1万6000人余りが死亡(死亡者数は全体で5万2000人)しており、特に大きな被害が出ている。第2段階では、65才超の高齢者と医療関係者が対象になるが、まず75才超の人、次いで65才超でリスクの高い人(慢性疾患の患者など)、最後に65才超のその他の人へと段階的に実施、50才超の医療関係者がこの段階にて接種の対象となる。次の第3段階では、50才超の人と、50才未満で特に高いリスクのある人、そして、すべての医療関係者と、「重要部門の勤務者」(治安、教育など)が対象になる。第4段階では、就労環境ゆえに感染リスクが高い人と、生活環境が不安定な人(ホームレスなど)が対象となり、最後の第5段階にて、18才超のすべての人が対象となる。

現在、ファイザー、モデルナ、アストラゼネカがそれぞれ開発した3種のワクチンが審査段階にあり、年末か来年年頭には最初の入荷がなされるものとみられている。政府は、ワクチン接種を義務付ける可能性を否定している。新型コロナウイルスワクチンへの国民の信頼感は低く、世論調査によると41%が接種しないと回答しており、国民を説得する努力が必要になる。ファイザーとモデルナのそれぞれのワクチンは、全段階を通じて超低温を維持する必要があり、その手配も課題となる。専門家らは、ワクチン接種の効果が出たとして、平常の状態に復帰するのは2021年秋以降になると予想している。

ウニクレディトのムスティエCEOが退任へ

イタリアの大手銀行ウニクレディトは11月30日夜、ジャンピエール・ムスティエCEOが2021年4月の任期満了を以て退任すると発表した。経営方針の違いを理由に退任する。この発表を受けて、同行株価は12月1日に8.4%の下落を記録。その前日にも、CEO辞任の噂を背景に株価は5%安を記録していた。

ムスティエCEOはフランス人で、2016年にウニクレディトのトップに抜擢された。以来、不良債権の大幅な圧縮に成功し、同行の立て直しに手腕を振るった。しかし、最近では、国内の業界再編への対応を巡って取締役会の一部勢力との対立が深まっていたといい、CEOは自ら、「この数ヵ月間で、戦略プランの基本方針が取締役会の考えに即さないようになった」ことを退任の理由に挙げている。具体的には、有機的成長と株主への価値創出を優先するCEOと、国内での積極的な企業買収を後押しする取締役会との間で見解が対立したという。ウニクレディトは特に、経営不振で昨年に国が救済のため出資したBMPS銀行の買収を国から持ち掛けられていたが、CEOは財務基盤を犠牲にする買収案件には消極的で、この案件が最終的に退任につながったとみられている。

ムスティエCEOは59才。理工科学校(ポリテクニーク)の出身で、同期には、ボナフェ(BNPパリバのCEO)、ウデア(ソシエテジェネラルのCEO)、ティアム(クレディスイスのCEOを去る2月に退任)という錚々たる銀行家が揃っている。大物銀行家の今後の去就にも注目が集まっている。

モザンビークのガス田開発計画、仏公的金融機関が資金協力

仏経済紙レゼコーは1日付で、公的金融機関SFILがモザンビークにおけるガス田開発計画に資金協力を行っていると報じた。民間銀行ナティクシス(BPCE銀行傘下)が行った融資について、1億4800万ユーロのリファイナンスに応じる形で協力した。

この計画は、米仏テクニップFMCが主導する「コーラル・サウス」で、年間に340万トンのLNGを生産するオフショアガス田の開発が予定されている。計画には、政府系金融機関CDC(預金供託金庫)の子会社であるBPIフランスが4億5000万ユーロの輸出信用を与えているが、同じくCDC子会社のSFILの資金協力を加えると、「コーラル・サウス」の総費用74億ユーロの10%程度が仏政府による公的支援で賄われる計算になる。

気候変動対策に傾注する姿勢を示す仏政府として、ガス開発の大規模プロジェクトへの支援は建前との乖離があると批判する向きもある。経済省筋は、マクロン大統領が天然ガスへの支援打ち切りを2035年に設定していることを挙げて、政府の対応に矛盾はないと説明している。環境派は、現地の治安状況の悪さも指摘しつつ、住民の強制移動や労働者の直面するリスクなども問題視。環境派のバト下院議員は、仏政府の支援がなかったらこの計画は実現しない、と述べて、政府の対応が決定的な要因になると問題視している。経済省はこの点、現在は新型コロナウイルス危機を経た特別な状況下にあり、公的支援が付与されるのがむしろ常態で、付与されないことの方が事件だと説明している。

Wishの欺瞞的商行為、当局機関DGCCRFが摘発

経済省下の詐欺行為調査部署であるDGCCRFは11月30日、ECサイト「Wish」に関する調査結果を司法当局に提出したと発表した。欺瞞的な商行為など違反が多数発見されたという。責任追及の是非は司法当局に委ねられた。

Wishは米ContextLogic社が運営するマーケットプレイスで、格安品を楽しく購入できるのが売り物となっている。DGCCRFは、同サイト上の9000件に上る出品について調査し、組織ぐるみの違反行為があるとの結論に達した。これによると、出品の8割超は恒常的に特売となっており、時に70-80%安と表示されているが、実際には、値引き前価格が異様に高く設定されており、他社のサイトで購入した方が安い場合も多い。DGCCRFはこれを、消費者に対する欺瞞行為であると同時に、不当競争行為であると糾弾している。さらに、実際には在庫切れであるのに、著名ブランドの製品を客寄せのために出品するという手口や、ブランド品の模造品を出品するなどの違法行為も見受けられた。仏国内向けのサイトにおいて、商品説明が英語でなされているケースもあった。

ContextLogic社はこの件についてコメントに応じていない。司法当局の決定次第では、最大で年商の10%に上る罰金処分が言い渡される可能性もある。

ニエル氏らがSPAC設立、消費財の製造・販売部門に投資

大物実業家のグザビエ・ニエル氏とマチュー・ピガス氏は、小売分野の著名実業家であるモエズアレクサンドル・ズアリ氏と組んで、SPAC(特別買収目的会社)を設立することを決めた。ESG重視の消費財の製造・販売部門に投資する。

ズアリ一族は、モノプリ・フランプリ(スーパー)のパリ首都圏におけるフランチャイズ事業を掌握、冷食大手ピカールのオーナーとしても知られる。ニエル氏とピガス氏は、メディア事業に投資するSPACのメディアワンを立ち上げた実績があり、今回、消費財分野で新たなSPACの「2MXオーガニック」をズアリ氏と共に設立する。3氏はそれぞれ200万ユーロを投資して、SPACの20%株式を合同で確保。11月30日より、総額2億5000万ユーロ(3億ユーロまでかさ上げ可能)の調達に着手する。募集は12月7日に締め切り、10日にはパリ市場で上場する。今年のパリ市場における最大のIPO案件となる。

2MXオーガニックは、最初の投資を2021年中に行う予定。ズアリ氏は2MXオーガニックのCEOを務め、買収案件では自らも3000万ユーロの投資を別途行う予定。

治安法案反対デモ、多数が参加

国会審議中の治安法案に反対するデモが28日に全国で行われた。70都市で行われたデモに合計で13万3000人が参加した(内務省集計)。参加者数は、パリでは4万6000人、リヨンでは7500人、ストラスブールでは1500人、ボルドーでは6000人などとなった。大規模なデモに発展した。

治安法案では、警察官の職務遂行中の撮影を制限する措置を定めた第24条が特に問題になっている。折しも、警察官による暴力行為が、撮影された動画により明るみに出る事件が相次いでおり、反対の声が一段と高まっている。特に、パリ市内で発生した黒人の音楽プロデューサー、ミシェル・ゼクレールさんがスタジオ内に押し入った警官隊により暴力を受けた事件は衝撃を与えており、マクロン大統領も27日の時点でコメントを発表、強い憤りの念を表明すると共に、政府に対して、国民と警察の間の信頼関係を回復するための措置を策定するよう求めた。

デモには、野党勢力の議員らも参加し、治安法案における問題の条項の撤回などを呼びかけた。他方、デモは一部で暴力的な衝突に発展。パリでのデモでは、終着点のバスチーユ広場付近で、暴力的な者たちにより、自動車やキオスクに放火がなされたり、商店のウインドーが破壊されるなどの事件が発生。パリ警視庁によると、同日には46人が逮捕された。また、内務省の集計によると、合計で37人の警察官・憲兵隊員が負傷した。報道カメラマンが警察の攻撃を受けて負傷した事案なども報告されている。

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