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年金改革:労組CFDTも国鉄SNCFのストに合流

年金改革を巡り、ドルボワ年金改革高等代表とジェバリ運輸閣外相は21日、国鉄SNCFの2労組(UNSA、CFDT)の代表を迎えて会談した。労組側は、新たな譲歩がないことに不満を表明、CFDTは12月5日の鉄道ストに合流することを決定した。

年金改革においては、SNCFなど公社組織等の各々に適用される年金特殊制度の改革が焦点の一つになっている。SNCFとRATP(パリ交通公団)の労組は、12月5日に更新可能な無期限ストを開始すると予告しており、21日の協議では、これを回避するための具体的な提案がなされるかが注目されていた。出席した2労組によると、政府側の提案には新味がなく、これまでストへの合流を見合わせていた改革派労組のCFDTも、CGT及びUNSAが予告していた12月5日開始のストに合流することを決めた。

報道によれば、政府は、ストがどの程度の規模になるか、またどの程度の期間に渡るかを見極めた上で、12月半ばに労組との交渉に着手する考えであるという。取り沙汰されていた「祖父条項」(改革を新規採用者から適用し、従来の職員には旧制度の適用を継続する)を含めて、政府はあらゆるオプションを温存しつつ、応じる譲歩をどの程度にするかを決めるのだという。これだと、12月前半の交通事情は大混乱となる恐れがある。


 

44%の開業医がかかりつけ医引き受けを拒否=消費者団体調査

消費者団体UFCクショワジールは21日、かかりつけ医になることを拒否する開業内科医が多いことを示す調査結果を発表した。全国平均で44%の医師が拒否したという。

かかりつけ医は医療制度の入り口としての役割を担っており、専門医や病院へは、かかりつけ医の紹介を経てでないと健保の払戻率が低くなるといったペナルティが患者に課される。通常の診察も、かかりつけ医以外の医師のところへ行くとやはりペナルティが課される。UFCクショワジールは、かかりつけ医となるのを拒否されたとの報告を受けて、覆面調査を全国の78県で合計2770人の開業医を対象に実施。その結果、予想を上回る規模の拒否がなされていることを確認した。

状況は地域により大きく異なり、拒否されるケースが占める割合は、セーヌエマルヌ県で86%など、大半の場合拒否されるという県も見受けられた。拒否の理由としては、「担当している患者がたくさんいる」が71%と多く、「近く引退する」が14%となっている。人口3000人以下の市町村と10万人以上の市では、拒否の割合が33%程度だが、人口1万-10万人の市においては52%と高くなる。UFCクショワジールはこの結果について、医療砂漠だと道義的に患者を拒否することにためらいが生じるが、ある程度医師がいる地域では、自分がやらなくてもよいという無責任な気持ちが生じるのが原因ではないかと指摘している。

 

政府、トレーニング提供アプリのサービスを開始

フィリップ首相とペニコー労相は21日、トレーニングを提供するアプリ「Mon Compte Formation(モンコントフォルマシオン)」のサービス開始を発表する。同日からダウンロードが可能となる。

従業員が勤務実績に応じてトレーニングを受ける権利を蓄積する制度は、2004年に導入された。2015年には、この権利を行使するための個別アカウント制度CPFが導入されたが、2017年に発足したマクロン政権はこの制度を手直しした。アプリ導入はその仕上げとなる。改正前制度では、蓄積される権利はトレーニングの時間数という形になっており、そのために行使の手続きが複雑になっていた。改正後では、権利が金額の形で蓄積される形に改められ、従業員が自ら、自分に必要なトレーニングを選ぶことが容易になった。アプリは、トレーニングを提供する業者と従業員各人の間の仲介役を果たし、権利の行使の手続きが円滑になると期待されている。

現行制度においては、アカウントには年間500ユーロずつポイントが蓄積され、5000ユーロが限度となる。アプリは10万件のトレーニングを仲介。トレーニングは、認可を受けた組織が提供する資格取得につながるもののみが認められる。平均費用は1400ユーロとなっている。

 

政府、病院支援プランを公表

フィリップ首相は19日、病院支援プランを公表した。14日には公立病院で大規模なストが行われており、病院部門では数ヵ月前から抗議行動が続いている。職員らは、予算不足に抗議し、増員と労働条件の改善をあわせて要求している。政府は事態の鎮静化をにらんで、今回の新プランを発表した。

まず、公立病院の予算が2022年までの3年間に、総額15億ユーロ増額される。これは、毎年の予算改定による通常の増額に上乗せする形で行われる。初年の2020年には3億ユーロの上乗せ増額がなされる。首相はまた、2019年予算において執行を凍結した4億ユーロについて、数日中に凍結を解除すると約束した。

首相はまた、300億ユーロに上る公立病院の累積債務について、うち100億ユーロを3年間にわたり段階的に国が肩代わりすると予告した。債務の利払いは公立病院部門で年間8億5000万ユーロに上っており、これを削減することで、収支を改善する狙いがある。

公立病院の医療料金については、現政権の任期末まで引き下げは実施しないと約束。毎年最低で0.2%、可能であればそれ以上の引き上げを行うとも予告した。また、年間1億5000万ユーロを、小規模な投資のための資金として融通すると約束した。

ビュザン保健相が別途行った発表によると、パリ及びその近郊に勤務する看護師及び医療補助員のうち、月額1900ユーロ未満の報酬の者には、年間800ユーロ(手取り)の手当が恒久化される。4万人が対象となる。病院の運営体制の効率化を目的とする措置も予告された。

公立病院部門の組合連合は、30日にも全国規模で抗議行動を行う方針を予告している。発表されたプランが事態の鎮静化を招くことにつながるかどうかは微妙な情勢。

 

サマリテーヌ、4月にリニューアルオープン

仏高級ブランド大手LVMHは来る4月に、パリ市内の「サマリテーヌ」をリニューアルオープンする。高級ホテルと店舗、レストランが入居する施設にリニューアルする。

サマリテーヌは1870年創業の老舗百貨店だった。施設の老朽化に伴い2005年に閉店し、LVMHが7億5000万ユーロを投資して改修。15年を経ての復活となる。

アールヌーボー風の折衷様式の建築を活かして、改修後の新施設にはLVMH傘下の五つ星高級ホテル「シュバルブラン」が入居。26室・46スイートで料金は1泊1150ユーロからとなり、どの部屋もセーヌ川を望む眺望が楽しめる。最高級のスイートは900平方メートル、プール(12.5メートル)と専用駐車場を備える。2月に予約受付が開始される。

店舗は2万平方メートルで、600ブランド(うち40ブランドが独占契約)が出店する。外国人観光客を意識したラインナップとする。地下は化粧品・香水の専用フロアとなり、規模(3000平方メートル)はパリ最大という。丸天井を備えた最上階にはレストラン12店が入居する。

 

OECDの国際課税新ルール案:フランスでは税収増に期待も

経済協力開発機構(OECD)を舞台に協議が進められているデジタル・国際企業課税の新ルール案について、首相府下の調査機関CAE(経済分析評議会)は19日、フランスの所得税税収に及ぼす影響についての予測を公表した。全体として新ルールはフランスにとって利益になるとする推計が得られた。

新ルール案の柱の一つである利益率超過分の各国再分配については、CAEは、利益率上限12%という数字が採用されるなら、各国の税収や税的誘致力の力関係に大きな変化は及ばないと指摘。上限30%を採用しないと、消費国における税収拡大の効果は見込めないとの判断を示した。

もう一つの柱である最低税率導入については、CAEは、フランスの法人税税収に年間46億ユーロ程度の増加をもたらすと試算。CAEは、タックスヘイブンを用いた課税回避を封じることにより、フランス企業について33億ユーロ、外国企業について13億ユーロの税収増加が生じると予想。実際にはこれを上回る税収増も見込めるとの判断を示した。

 

年金改革:2030年まで赤字拡大の見通し

諮問機関のCOR(年金方針評議会)は18日、政府の依頼を受けてまとめた年金会計の収支予測を提出した。2030年まで年金会計の赤字が拡大するとの予想を示した。

CORは労使代表により構成される。狭義の年金公庫は現在、収支が均衡に近いが、政府はポイント制導入による年金制度の一元化を計画しており、政府はその導入(2025年の予定)の前提として、収支均衡からのスタートを予定している。CORは今回、官民の年金制度全体の収支予測を、対GDP比だけでなく、金額の形で提示した。

これによると、2025年時点の年金制度の赤字は79億-172億ユーロ(対GDP比で0.3-0.7%)と、かなりの規模になる。2030年時点ではこれが80億-270億ユーロまで悪化する。予測に幅があるのは、マクロ経済予測のシナリオの違いに加えて、国がどの程度、公共部門等の年金制度の赤字を補填するかに由来している。国が負担を増やせば狭義の財政赤字の増大を招くことにもなる。

2025年時点で赤字ゼロで新制度への移行という目論見は、現状では達成は難しいことが改めて確認された。赤字解消につながる短期的な措置の導入には労組が揃って反対しており、ただでさえ困難な年金改革がさらに難題を抱え込む格好になった。

 

DV死、「司法の対応には問題が」=ベルベ法相

ベルベ法相は17日、DVに対する司法の対応に関する調査報告書を公表した。法相は17日付の日曜紙JDDとのインタビューの中で、「司法の対応には明らかに問題がある」と認めて、対策導入に向けた決意を示した。政府は25日に対策の詳細を発表する予定。

法務省監察局がまとめた報告書は、2015年から2016年にかけて発生した88件のDV殺人・殺人未遂・暴行致死事件(刑が確定した件に限る)について、司法の対応がどうだったか調べた。これによると、下された刑罰等は適正な水準だったが、事件が発生するまでの経緯については悔いが残る場合が多かった。事件のうち63%では、事前に警察等に対して通報等がなされており、被害者本人による被害届も40件を数えたが、調査などの対応がなされていたのは18%に過ぎなかった。被害者が提訴を行ったのは全体の24%だったが、その半数以上が不起訴となっており、十分な捜査が行われていないケースが目立った。事情聴取もなされずに捜査が打ち切られたケースも見られた。

 

「黄色蛍光ベスト」の1周年デモ、パリ市内で衝突も

16日の土曜日に、全国で「黄色蛍光ベスト」派の呼びかけによるデモが行われた。パリ市など一部の都市では暴力的な衝突に発展した。

「黄色蛍光ベスト」の抗議行動は毎週土曜日に行われた。久しく下火になっているが、16日には開始からちょうど1周年となり、各地でデモが行われた。全国で2万8000人が参加、パリでは4700人が集まった。パリでは、2つのコースでデモが予定されていたが、一方のデモの起点となったプラスディタリー(13区)には黒い服装で覆面をした暴徒が多数集結。破壊行為を展開し、治安部隊と激しく衝突した。当局はこのデモを中止し、17時頃にはようやく平穏が戻ったが、自動車への放火や建物の破壊などの被害が出た。広場にある第2次大戦のモニュメントも破壊行為の対象となった。このほか、バスティーユ広場とレアール界隈で騒乱が発生した。1年足らず前の抗議行動で大きな被害が出たシャンゼリゼ大通りと凱旋門では、警察が厳戒態勢を敷いたこともあり、混乱は起きなかった。16日夜の発表では、147人が逮捕され、うち129人が勾留された。

 

パリ市議会、野生動物のサーカス排除を決定

パリ市議会は16日、野生動物を興行に用いるサーカスに対して、土地占有許可を付与しないことを決めた。2020年から適用する。

野生動物を使役するサーカスの禁止又は制限措置は、世界の40ヵ国程度が決定済みであり、欧州でも28ヵ国がそうした措置を導入しているという。フランスでも、世論調査によると、6割の人がサーカスにおける野生動物の禁止措置を支持している。動物愛護団体などはパリ市の決定を歓迎し、政府に対して、立法措置を講じるよう呼びかけた。これについてボルヌ環境相は、数週間中に力強い決定を下す、とコメントした。

パリ市が決めた措置は、市内の土地を一時的に占有する巡回興行者には有効だが、市内に常設の劇場を自ら保有しているシルクディベール・ブリオーネには適用されない。同サーカスのブリオーネ社長は、サーカスの動物は野生動物を捕獲したものではなく、飼育環境で生まれたものだと指摘した上で、虐待の疑いがある場合には興行に応じていないと説明。決定は有権者の歓心を買うのが目的であり、パリ市はそんなことをする前に、路上生活を強いられているホームレス対策を進めるべきだ、とコメントしている。

 

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