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インシュアテックの仏アラン、1億8500万ユーロを調達

インシュアテックの仏アラン(Alan)はこのほど、1億8500万ユーロの資金調達を行った。評価額を14億ユーロとして実施、いわゆる「ユニコーン企業」の仲間入りを果たした。

今回の調達では、上場企業への投資でも知られる投資会社のCoatue ManagementやDragoneerが新たに出資。伊アニェッリ一族のExorも出資した。従来の株主(インデックス・ベンチャーズ、テマセク、リビット)も再び出資した。調達額のうち、3500万ユーロは、既存株主の一部と従業員による持ち株の売却が占めた。

アランは5年前にパリで創業。団体医療保険を企業向けに提供し、100%デジタルのサービスを特徴とする。年間収入は1億ユーロを超え、被保険者数15万5000人、保険加入企業数は9000社に上る。フランスのほかにベルギーとスペインに進出。各国の状況にあわせて、医療関連のサービスを組み合わせて提供することで差別化を図っている。2022年に新たに2ヵ国に進出し、2023年までに被保険者数100万人を達成することを目指しており、調達した資金をそのために用いる。

 

左派勢力が会合、2022年の大統領選に向けた協力の可能性探る

左派勢力が17日にパリ市内で会合を開き、2022年の大統領選に向けた対応を協議した。環境政党EELVのジャド欧州議員の呼びかけに応えて、すべての勢力の代表が出席した。

大統領選挙では、前回と同様、マクロン大統領と極右RNのマリーヌ・ルペン党首の一騎打ちとなる公算が強まっている。ジャド欧州議員ら左派の諸派は、こうした形で傍流に追いやられることと、決選投票でルペン党首が勝利する可能性も否定できないことに懸念を強めており、左派陣営が団結する可能性を会合の機会に探った。

会議には、EELVの代表らのほかに、社会党のフォール第一書記や、出馬に意欲を見せるイダルゴ・パリ市長。前回の大統領選で社会党候補として出馬し、今は社会党を離れているアモン氏など、大統領選挙への出馬に意欲を見せる政治家を含めて、多くの人が集まった。左翼政党「不服従のフランス(LFI)」からは、出馬意思を表明済みのメランション下院議員は参加しなかったものの、有力者のコクレル下院議員が出席した。

会議の際に、参加者らは、左派陣営内の不毛な足の引っ張り合いは避けて、マクロン大統領と現政権に対して団結して抵抗する方針を確認。候補者をどうするかを協議する前に、政策のすり合わせを図るのが先だとの判断に立ち、5月末に再度、全体会合を開くことを取り決めた。今後に、特にEELVと社会党の間で折衝が本格化するものと予想される。

サバイバル派による少女誘拐事件:少女は無事保護、母親は逮捕

ボージュ県内で13日、8才の少女が3人組の男に誘拐される事件が発生した。警察は15日までに容疑者4人(23才から60才までのいずれも男性)を逮捕、「サバイバル派」のグループが母親の依頼を受けて行った犯行と考えられる。少女と母親は18日に、スイス国内で潜伏中のところを発見され、母親は逮捕された。

事件は13日午後に発生。少女は、裁判所の決定を受けて、母方の祖母の元に預けられており、28才の母親は、月に2回、第三者の立ち合いの下で面会することを許されているのみだった。裁判所は、子供の前で自殺願望を口にしたことなどを材料にこの決定を下したとされている。3人組の実行犯は、児童保護組織を名乗り、母親との面会に連れてゆくと偽って子供を連れ出して逃走。祖母が不審に思って児童保護組織に連絡したところ虚偽であることがわかり、警察に通報した。警察は公開捜査で目撃者の証言を集め、情報機関DGSIがマークしていたサバイバル派のグループが関与した疑いを強め、一連の逮捕に踏み切った。

サバイバル派は、文明世界の崩壊が近いと考えて自立して生活できる蓄えとスキルを身に着けようとする一派で、陰謀論や極右勢力との親和性が強いことで知られる。容疑者らは警察の事情聴取に対して、母親の依頼を受けて実行したことを認めている。逮捕された容疑者の自宅からは、爆発物の製造の材料とみられる物質なども発見されたといい、テロ事件の担当部署による捜査も別途進められている。

政府、霜害被害の農家補償で10億ユーロの支援を約束

カステックス首相は17日、エロー県内の霜害被災の農家を訪問した機会に、10億ユーロの支援金を早期に支給すると予告した。全国の広い範囲で30年来で最大の霜害で大きな被害が出ているのを踏まえて、大規模な支援を約束した。

10億ユーロの支援は主に「特別連帯基金」より支給される。農業省の説明によると、この金額は、特別連帯基金からの支給を含めた一連の措置の合計額であり、これ以外に、社会保険料の納付延期・免除、土地税の控除、既存の時短制度を通じて行われる。果樹栽培業者向けの補償金の上限は、欧州連合(EU)の規定で可能な最大限の被害額の40%に引き上げられる(通常は35%)。10-15日以内に支給の手配を開始するとも約束した。この自然災害補償制度の適用の対象外であるワイン用ブドウの栽培農家と大規模耕作(サトウダイコン、ナタネなど)には別途、同様の特別支援措置を導入する。

今回の霜害では、数十万ヘクタールの農地が被害を受けた。FNSEAなど農民団体は政府の発表を歓迎しているが、十分な支給額が確保されるよう見守るなどとコメントしている。

フランス政府、5月15日からの段階的な制限解除について展望示す

マクロン大統領は15日、関係閣僚を集めた会合を開き、5月半ばに予定される制限措置の段階的緩和について協議した。

政府は、学校の再開については、既定の日程を確認し、26日(月)より小学校以下を、次いで5月3日(月)より中学・高校を再開すると予告した。中学・高校は生徒数を半数に絞っての授業になる可能性がある。他方、マクロン大統領は、5月15日よりレストランのテラス席や文化施設(劇場、映画館等)の段階的な再開を目指すと予告しており、15日の会合では、これを可能にするための衛生条件の設定や、段階的な制限解除の内容について協議がなされた。政府は、5月15日から6月15日にかけて解除を進めると予告。5月15日にはテラス席と美術館を再開し、3週間様子を見て、評価した上で次の段階に入るという展望を示した。全部で4段階、このサイクルを繰り返して、段階的な制限解除を進めるのだという。政府はまた、感染状況を見て地域ごとに判断する考えも示した。

近隣諸国が段階的な解除に動く中で、政府は長期に渡る制限措置で疲弊した国民に今後の展望を示す必要に迫られているが、感染状況がまだ峠を越していない現状では、正確な展望を示すことはできず、歯切れの悪い広報活動に終始している感もある。政府は、感染状況が4月25-30日頃に改善に転じると予想、医療機関の状況を基準として、段階的な制限解除を進める意向とされる。

政府、失業保険制度改正を再度修正へ

報道によると、政府は失業保険制度の改正について、再度の修正を加える方針を固めた模様。失業手当の給付額が改正により大幅に減るケースを回避することを目的に修正するという。

失業保険制度の改正は7月1日付で施行されることになっている。政府はこの改正を自らの手でまとめたが、失業手当の給付額決定の基準に用いられるSJRと呼ばれる金額の計算方式を見直した。ボルヌ労相はこれを、間欠的に就労した実績のある人において給付額が高くなるのは不公平であるため、これを是正することを目的に修正したと説明していた。具体的に、パートタイムで毎日就労した人が、1日置きに就労した人と比べて受給額が半分も小さい、などと例を挙げていた。しかし、これを是正するための改正を適用すると、受給額が平均で17%低くなることになり、特に、これは趣旨からいって避けがたいことではあるが、就業していない期間が多いほど目減り分が大きくなる。改正について、労組FOの請求によりUNEDIC(失業保険管理機構)が行った調査によると、長期の病欠や出産・育児休暇を取得した人の場合、受給額が大幅に目減りするという結果が出ており、政府はこれを踏まえて、7月1日の施行前に適宜修正をする方針を労使に対して示したという。

改正を定めた3月30日の政令は、行政最高裁(コンセイユデタ)の否定的な判断を経て、問題点を修正の上で作成されたという経緯がある。それが再度修正されることについて、政府の対応の素人臭さを指摘する向きもある。労組側は、政府が決めた改正そのものが不当な内容だとして、その廃案を要求しており、複数の行政訴訟が提起されている。

ルメール経済相、企業債務の一部棒引きに応じる考え示す

デュポンモレティ法相は14日の閣議に、刑法改正法案を提出した。一連の新機軸を盛り込んだ。

ルメール経済相は14日午前、ニュース専門テレビ局BFM TVとのインタビューの中で、企業の債務の一部棒引きに応じる考えを示した。危機対策で認められた一連の支援措置が終了し、融資の返済が開始されるに及んで立ち行かなくなる企業が増えるリスクがあることを考慮し、存続可能な企業を、案件ごとに審査の上で支援すると説明。債権者が官民のいずれでも、一部の債務の棒引きを含めた債務軽減に応じて、企業の存続を支援すると述べた。数週間以内に「協議と調停の制度」を全企業向けに提供すると予告した。

詳細は明らかにされていないが、経済相は、既存の制度であるCodefiの枠組みを利用して、債務軽減の審査を行う方針だという。Codefiは、県ごとに設置されている審査組織で、地域の雇用に影響を及ぼす中小企業の支援を念頭に置いたものだが、この数ヵ月間の利用件数は100社程度、再編の対象となった債務は1億ユーロ弱と少なく、制度はあまりよく知られていない。経済相はこの制度を足場に、一律の基準は設けず、案件ごとに吟味の上で企業の支援に応じる考えとみられている。

 

政府、刑法改正法案を閣議決定

デュポンモレティ法相は14日の閣議に、刑法改正法案を提出した。一連の新機軸を盛り込んだ。

デュポンモレティ法相は、刑事事件を専門とする著名弁護士から法相に抜擢された。司法官との折り合いは悪く、これまでに様々な対立を引き起こしてきた。新法案は、司法制度への信頼感向上を目的に据えて、弁護士の保護などを含む一連の措置を提案している。まず、当事者らの合意を条件に、裁判(民事、刑事とも)を録画する制度が導入される。これまでは、重大事件の裁判に限り、特例措置として収録が認められたケースがあるが、これを一般化する。録画は判決が確定するまでは利用が認められない。このほか、予審(担当予審判事が起訴の是非を決めるために行う裁判上の手続き)開始までの警察による予備捜査について、原則2年間を上限とし(所定の手続きを経て5年まで延長可能)、捜査の対象者に一定の条件下で捜査内容を開示するという措置が盛り込まれ、弁護側の権利が強化される。さらに、弁護士を対象とした通話記録(通話先や時間など)の捜査当局による取得の条件が、電話盗聴並みに厳しくなり、さらに、弁護士当人が容疑に問われている場合を除いて、電話盗聴の対象とすることが禁止される。半面、法相が弁護士時代に反対していた、重罪(最高刑が禁固15-20年を超える犯罪)を審判員なしに5人の裁判官により裁く新法廷の設置については、試験的に導入されていたものを全国に広げる方針が盛り込まれた。受刑者に適用される減刑制度も手直しの対象となる。社会復帰を準備する目的での受刑者の就労を奨励するため、受刑労働者の権利に関する規定も定められる。

「気候・抵抗力法案」下院審議:住宅のエネルギー効率改善措置が採択に

下院は12日、「気候・抵抗力法案」の審議の過程で、住宅のエネルギー効率改善に関する諸条項を採択した。野党側からは不十分とする声も上がっている。

下院が採択した措置によると、エネルギー効率評価で下から2番目まで(FとG)に分類される賃貸住宅については、法律の施行日から1年が経過して以降は、家賃の引き上げが禁止される。次いで、2025年からG分類の物件を、さらに2028年からはF分類の物件が、「人の居住に適さない住居」に指定される。さらに、議員提出の修正案が採択され、2034年からは、E分類の物件もこの指定を受けることになった。合計で440万戸の住宅が対象となる。こうしたエネルギー効率が低い物件(俗に「ざる」と呼ばれる)の賃貸の禁止を明文化する措置は、政府の反対を受けたこともあり採択されなかった。現行の法律により、「人の居住に適さない住居」の賃貸は禁止されているため、このような住居に住む借家人は、所有者を相手取った訴えを起こすことができる。ただ、そのような権利を行使するのは借家人の生活状況によっては困難(例えば不法滞在者などの場合)であり、絵にかいた餅に過ぎないという批判の声も聞かれる。

所有者が自ら居住する住宅についても、リフォームの義務が定められておらず、この点も野党側からの強い批判の対象となった。政府は、金銭的な一連のインセンティブを優先すると説明したが、提案された支援措置については、対象範囲が広すぎる(エネルギー効率評価で上から3番目のC分類へのリフォームまで含むなど)とする批判の声も聞かれた。

同法案は16日に下院審議を終える予定。次いで上院で審議される。

企業倒産件数、1-3月期にも減少:直接清算の決定は増加

調査会社アルタレスの集計によると、1-3月期の企業倒産件数は7406件となり、前年同期比で32.1%の大幅減を記録した。新型コロナウイルス危機の開始以来で、企業倒産件数は大幅な減少を記録しており、その傾向が続いた。危機下では、政府が手厚い支援措置を導入したこともあり、脆弱な企業もそのまま延命しているという事情がある。特に、平時にはデフォルト発生の原因の3-4割を占めるURSSAF(社会保険料徴収機関)が、債務の請求を控えているのが大きい。それでも、アルタレスは、状況の悪化を示す兆候として、3月には、直接に企業清算を裁判所が決定した割合が79%に達した点を指摘。この率は、危機前には68%程度で推移しており、過去20年来で最高の数字となっている。従業員数が5人未満の企業でそうしたケースが特に多い。

他方、公的保証の伴う特別融資制度PGEや、その他の支援措置の利用により、全体でみると、企業の現預金の水準はかなり良好な水準にある。ただし、経済が常態に復帰する局面においては、顧客が戻ってくるかどうかが成否を決する要因になり、企業の淘汰が進むことも考えられる。

アルタレスは、7-12月期に倒産件数が増加に向かうと予測。通年の倒産件数は4万-4万5000件程度とみており、これは、危機前の2019年(5万2000件)に比べると少ない。

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