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通信・情報・エネルギー:太田 誠/KDDIフランス

新年あけましておめでとうございます。

2018年、欧州通信業界では大きな法制改革がありました。例えば、5月にGDPR(General Data Protection Regulation、EU一般データ保護規則)が発効し、個人データ保護が強化されました。ウェブサイトにアクセスした際、「このサイトはCookieを使用しています。受け入れますか?」というような通知を目にした方も多いかと思います。また、自社システムでの対応に苦慮された日系企業様も多いのではないでしょうか。ドイツの例で恐縮ですが、ある調査によると2018年9月までにGDPRに完全に対応できているのは24%、部分的に対応できているのは30%で、5%の企業は対応プロセスを開始し始めたばかりだといいます。欧州内の企業でも苦慮している状況は同じようです。

もう一つ、欧州内の大きな動きとしては年の瀬の12月20日、2年間に渡ったEECC(European Electronic Communications Code、欧州電子通信コード)の議論がようやく収束し、発効に至りました。EECCは欧州通信自由化後30年で最大の通信法制改革と言われ、これまでバラバラだった通信関連の4つのEU指令を統合し見直したものです。欧州デジタル単一市場の実現を目指し、ギガビット網の整備、5G時代に向けた投資促進、欧州内通信インフラ地域格差是正、近年のGAFA等に代表されるプラットフォーム事業者の位置づけの明確化など、大きなフレームワークの変化が起きることになります。このフレームワークを踏まえ2019年の欧州通信業界では、IoT、AIなどでも米中日韓に遅れ気味の現状からキャッチアップすべく、実務に落とし込む取り組みが急速に進んでいくと予想されます。

一方、フランス国内の通信市場においては、Xavier Niel氏率いるモバイル事業者Free Mobileが2012年の参入以降、低価格路線でシェアを伸ばしてきましたが、同社親会社Iliad Groupが2018年にイタリア市場に参入したのと時を同じくして、ここフランスでの勢いは落ち着いてきました。また、これまで価格競争で利益を失い苦しんできたBouygues Telecomの業績が昨年に入り回復してきているなど、フランス通信市場の勢力図に少しずつですが変化が見られます。しかしながら、Orangeはいまだフランス通信市場で収益の50%、利益の80%を占める存在であり、他社は相対的に薄い利益の中でファイバー網や5G準備を行わなければならず、巨額の投資負担に耐えられない事業者が出てくる可能性もあります。昨年も一時、通信事業者間の合併が噂されたことがありましたが、ここ数年は、欧州委員会が合併をことごとく却下してきた背景もあり、事実上実現困難と見られていました。ところが、2018年11月27日に欧州委員会がオランダでのモバイル事業者間合併を無条件で承認したことで、欧州内通信業界に衝撃が走りました。これで多少潮目が変わり、2019年には再度フランスにおいても事業者間の合併または連携の動きが出てくる可能性もあるのではないかと思います。

日本の通信市場においても2019年には第4のモバイル事業者として楽天の参入を控え、ますます競争激化が想定される中、我々KDDIグループも東京オリンピックを控えた2020年までに日本での5G商用サービスを開始すべく着々と準備を進めております。通信・ITは今や多くの産業のプラットフォームとなり、通信の途絶は社会全体に重大な影響を与える時代となりました。その役割と責任の大きさを常に意識し、いかにして皆様に通信の利便性と未来のワクワクを届けられるか、2019年も我々KDDIグループは日々奮闘努力していく所存です。どうぞよろしくお願い申し上げます

KDDIフランス 社長 太田 誠