Laser Systems and Solutions of Europe (LASSE) 小林 一平
こんにちは。
LASSE 小林です。
私が勤める会社は長い名前を持っていますが、日本にあるSCREEN HD / SCREENセミコンダクター ソリューションズの子会社で、半導体部品製造装置業界に身を置いております。
業界名も長いですね。結局、ICを作る装置を製造している会社ということになります。
ICを作るには数え方によっては千種類を超える装置が必要だと言われており、当社は、そのうちレーザー光線を扱う装置に特化した事業を展開しています。
ところで、突然ですが、光は波の性質を持っていて、その波長によって性質も極端に変わる事はご存じの方も多いと思いますがどうでしょうか?
例えば可視光
可視光線の波長は人によって異なりますが、下限 約360-400 nm、上限 約760-830 nmと言われていて、その間に紫色から赤色まで色が変わるのは、虹を見れば一目瞭然ですね。(1nmは100万分の1mm ‼ 小さいですね。)
色が変わるというのは人間の目の反応による効果ですが、そのおかげで我々は様々な色彩を楽しむことが出来ますね。
フランスに住んでいると本当に実感として感じますよね。
次に赤外線。
可視光の上限を超えれば赤外線です。
光と言えば普通はガラスを通り抜けるもので、赤外線もガラスを透過しますが、更に波長を長くして遠赤外領域(約5000nm)までいけば赤外線はガラスを通り抜けなくなります。
地球を侵略しようとしてやってきた宇宙人が、ガラスの向こうにいるアーノルド・シュワルツェネッガーが見えず、気が付かなかったのはこういうわけだったんですね。
それから紫外線。
可視光の下限を超えれば紫外線です。
紫外線と言えば日焼けという方も多いでしょうが、一方で肌の抵抗力を強める効果も持っています。
実際、それを利用したOpt Therapyを得意にする病院がパリにもいくつかあります。アトピーや乾癬などの難治病にも効果があります。
紫外線の話は続きます。
もっと波長を短くしていきましょう。
そうすると、紫外線は金属に吸収されやすくなります。
可視光なら、多くの金属が銀色に光ることからわかるようにほとんどの光は反射されてしまいますが、波長を短くしていくと、ついには入射した光の多くが金属に吸収されるようになってきます。
ですから、鏡に波長の短い強い紫外線を当てるとガラス表面に張り付いていた金属が紫外線を吸収し、熱せられ、最後にはその金属は溶けていきます。
半導体業界では、この紫外線の持つ不思議な能力をうまく使って、ICの性能を上げることに成功しています。
ふぅー。やっと一周回って半導体の話に戻ってくることが出来きました。
長くなりましたが、それが私たちが選んだ私達の会社の使命なんです。
上述の光の半導体産業利用の話、医療利用の話、更には色彩を楽しむ話。
これらは全て光の特性からくる自然界からもたらされた人類への恩恵だと思っています。
我々は加工しやすく、作り出しやすく、比較的安全で、様々な能力を持っている、光があふれる中で生きています。
それらの恩恵をうまく使って人類社会に貢献する事が出来れば良いと、私を含め多くの光学技術者は考えているのではないかなと思っています。
そしてこれからもうまく自然と共存できればと感じる次第です。