会計検査院、年金収支の鑑定報告を提出
会計検査院は20日、年金制度に関する鑑定報告書を提出した。この文書は、年金改革の見直しに関する労使協議の土台となる。
会計検査院は、バイルー首相の依頼を受けて鑑定報告書をまとめた。首相は、年金改革の見直しを労使間の協議に委ねることを約束。その条件として、異論の余地がない収支面での鑑定結果に基づいて協議を進めることを求め、会計検査院に鑑定報告のとりまとめを依頼していた。
現在進行中の年金改革では、定年年齢が段階的に改定され、62歳から64歳に引き上げられることになっている。議会の左派と極右勢力はそれぞれこの改革を見直すよう要求し、バイルー首相は、国会運営を可能にする目的で、見直しの協議を労使に委ねることを約束したという経緯がある。会計検査院の報告は、年金収支が2023年に85億ユーロの黒字を記録した後、収支は悪化を続けており、2025年には66億ユーロの赤字を記録、続いて2030年まで同程度の赤字額で推移するとの予測を示した。赤字額は2035年時点で140億-150億ユーロ、2045年時点では250億-320億ユーロまで拡大する。これは、定年年齢の引き上げを定めた2023年の改革が実施されたと仮定した場合の推定であり、例えば、定年年齢の引き上げを63歳までで止めたとすると、2035年時点では58億ユーロの赤字膨張が生じるという。
他方、年金保険料率を1ポイント引き上げたとすると、年間に48億-76億ユーロの財源を確保できるが、この場合には、経済活動への悪影響が生じる恐れがある。会計検査院は、保険料引き上げなど様々な手段の波及効果について推定する分析結果を、2本目の報告にまとめて4月半ばに提示する予定。
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