カマンベール・ド・ノルマンディー以外は「ノルマンディー産」表示は不可
フランスを代表するナチュラルチーズ「カマンベール」を巡る生産者間の争いで、ナント行政高裁はこのほど、地理的表示保護制度AOPの下で「カマンベール・ド・ノルマンディー」に指定されている銘柄以外は「ノルマンディー産」を表示することを禁止する決定を下した。大手ラクタリスはこの判決を不服として、行政最高裁(コンセイユデタ)に上告すると予告した。同業他社も上告に加わる可能性がある。
「カマンベール・ド・ノルマンディー」は、加熱滅菌等が禁止されるなど、厳しい仕様を守る製品のみが指定を得られる。「カマンベール」という名称はAOPによる保護の対象にはなっていないため、より緩い仕様の製品が名乗ることを許されている。この件で、カーン行政地裁は去る2月12日に、「カマンベール」にも「ノルマンディー産」と表示することを認める判決を下していたが、ナント行政高裁は下級審判決を覆して表示の制限を命じた。高裁は、「ノルマンディー産」という表示が、消費者をして「カマンベール・ド・ノルマンディー」と混同させる性質のものだと判断し、この判決を下した。
大手ラクタリスは、「プレジダン」の商標では年間50万箱のカマンベールを製造、その4分の1を輸出している。「ノルマンディー産」の表示の削除は製品訴求力の低下につながることから、その防衛に全力を尽くす構えで、上告を決めた。