CCIJF – 在仏日本商工会議所

バルニエ首相、予算法案可決に協力を呼びかけ

バルニエ首相は26日夜、民放大手TF1のインタビューに応じて、予算法案の国会審議について見解を表明した。予算法案が成立しなければ重大な危機が訪れるとして、国民に対して支持を呼びかけた。

議会で過半数を確保する見込みがない場合、「49.3」と呼ばれる憲法上の規定を利用して法案を成立させることができる。「49.3」の発動を宣言すると法案が投票を経ずに採択されるが、反対派が内閣不信任案を提出し、それが可決された場合には、内閣は瓦解し、当該法案の成立も撤回される。バルニエ首相は25日から、議会の全勢力との個別協議を続けているが、下院で大きな勢力を持つ極右RNのマリーヌ・ルペン議員団団長は、このところ不信任案に賛成する姿勢をちらつかせており、野党勢力が揃って不信任案に投票すると、予算法案が成立しないまま年を越すような事態になることも考えられる。バルニエ首相は、そうなった場合の影響は計り知れないとして、国民を証人に立てて、各政治勢力に対して、妥協を探る責任ある行動をとるよう促した。

これと関連して、欧州委員会は26日、フランス政府が提出した中期予算計画(2025-29年)を承認することを決めた。フランスの財政状況は他のEU加盟国と比べて悪いが、財政健全化に向けて示した展望を欧州委は評価し、これに承認を与えることを決めた。仏政府は、2029年時点で財政赤字の対GDP比を2.8%まで圧縮するとの展望を示し、2031年までの財政調整期間の延長を請求したが、欧州委は、財政・税制の展望を信頼性があると認め、一連の改革の遂行を条件に、調整期間を延長する方針を決めた。欧州連合(EU)理事会が欧州委の提案を踏まえて最終決定を下すことになる。