CCIJF – 在仏日本商工会議所

コンサルティング・メディアコンテンツ・サービス:五十嵐 幹直/フロンティア・マネジメント

新年あけましておめでとうございます。
在仏日本商工会議所会員の皆様、ご家族の皆様に謹んで新春のお喜びを申し上げます。

弊社がフランスに駐在を開始して、早いもので今年の7月で丸3年を迎えます。昨年2月に支店を開設し、4月には従来のM&Aアドバイザリー・サービスに加え、パリを拠点とした事業コンサルティング・サービスの提供を開始し、会員企業の皆様のお力添えもありゆっくりではありますが一歩一歩前進することができました。

さて、2025年の業界見通しですが、弊社からはM&A市場の見通しについて皆様と共有させて頂きます。

2024年第3四半期までのフランス全体のM&A件数は268件と、前年比32.3%減少しており、2年連続の減少となりました。投資家(買収企業)の資金調達コストの増加に直結する市場金利が上期は高止まり、投資活動が全体的に活発化しなかったことが要因の一つと考えられます。また昨年1月にフランスの外資規制が強化されたことも、M&A市場においては逆風と捉えられております。一方、過去2年間の停滞で企業オーナーの売却ニーズが高まっている点や、欧州政策金利が昨年下期より下降トレンドに入った点等を踏まえると、2025年は回復に向かうという見方が業界において多数を占めています。

フランス市場全体とは対照的に、2024年の日本・フランス間のクロスボーダーM&Aは2023年比5件増加し40件となりました。その大半は日本企業によるフランス企業への投資となっており、主な案件で見るとNTTドコモ等によるAALTO HAPS Limited(エアバス子会社)への出資、メニコンによるLaboratoires Dencott SA(特殊レンズ)の買収等が挙げられます。コロナ禍の終息後、欧米企業に比べスローであった日本企業の投資意欲・投資活動が徐々に戻りつつある表れではないかと感じております。政治不安、ユーロ高止まり、企業の税負担増等の懸念材料に比べ、2025年はあまり追い風となる要因が見当たらないのが気になるところですが、テクノロジーやヘルスケアといったフランス企業の優位性が見られる分野に対しては、日本企業の投資意欲は引き続き高い状況にありますので、日本からフランスへの成長投資の増加に期待したいところです。

弊社パリ支店においては昨年、アンリツ株式会社様による仏SmartViser SAS(モバイルネットワークおよびデバイス試験自動化ソリューションベンダー)の株式取得、仏鋼管大手Vallourec S.A.のインドネシア子会社2社の売却、株式会社ソディック様による伊Prima Additive S.r.l.(金属3Dプリンタ事業)の第三者割当増資引受け等をご支援させて頂きました。

2025年もフランスから欧州全体を俯瞰し、M&Aアドバイザリーと事業コンサルティングの両輪で、日本企業様の欧州におけるM&Aや事業展開をサポートできればと考えております。

本年も在仏商工会議所会員各社様の益々のご発展と会員各位およびご家族のご健康、ご多幸を心よりお祈り申し上げます。

フロンティア・マネジメント
五十嵐 幹直