通信・情報・エネルギー:藤沼広一/情報通信研究機構
新年明けましておめでとうございます。在仏日本商工会議所会員の皆様に、謹んで新春のお慶びを申し上げます。
昨年、100年ぶりにパリでオリンピックが開催されましたが、2024パリオリンピック・パラリンピックは、情報通信分野の革新と進化の機会にもなりました。IOCはオリンピックAIアジェンダを策定し、パリ2024組織委員会は大会組織委員会として初めてデジタル戦略を策定し、この戦略にはフランスが進めている脱炭素化や持続可能性での軸も大きく盛り込まれておりました。パリ大会では、5GやIoTなどの技術が活用され、オリンピック用の映像のリアルタイム分析、会場での接続性向上、ペーパーレス化、会場や公共交通機関の効率化など、情報通信技術が重要な役割を果たしました。また、大会に向けて、フランス国内でのデジタルインフラの大規模な更新が促進されました。
当法人は欧州全域の情報通信分野の研究開発動向を注視していますが、最近のキーワードとして、欧州全体で共通ではありますが、AI、Beyond 5G(6G)、サイバーセキュリティ、クラウド、IoT、量子技術が挙げられ、これに加えフランスでは、グリーンテクノロジーの軸での技術が多く出てきます。2024年3月にバルセロナで開催されたモバイルワールドコングレスや5月にパリで開催されたビバテクノロジーなどの主要展示会においても、AIの文脈でAI技術を全面に出した展示の割合が相当多く、かつフランス系企業においてはグリーンテクノロジーの視点での展示が多かったところ、2025年についてもこの傾向が継続するものと思われます。また、先月東京で開催された日仏ICT政策協議においても、Beyond 5G(6G)、AI、デジタルインフラをトピックと日仏間の今後の連携・協力の推進に向けた議論が行われたところです。
本年、AIに関しては、2025年2月にパリ・グランパレでAIアクションサミットが開催され、AIに対する信頼の構築やイノベーションを含めた議論がなされる予定で、フランスにおけるAI技術やイニシアティブに対する注目が集まることとなります。これらAI技術や適用の加速化に加え、先述した5Gなどのインフラ強化やグリーンテクノロジーなどの最先端技術が、さらに加速化し実用化していくことになろうかと思います。2025年以降、各業界の事業にも良い意味で寄与できれば幸いですし、通信・情報・エネルギー分野の軸での日仏間の連携がさらに進むことも期待しています。
本年も在仏商工会議所会員各社様の益々のご発展と会員各位のご健康、ご多幸を心よりお祈り申し上げます。