CCIJF – 在仏日本商工会議所

商社:宮田陽子/双日欧州会社パリ支店

新年あけましておめでとうございます。

2024年は、多角的にエキサイティングな年でした。

身近ではパリ・オリンピック・パラリンピックが開催されました。

パリの街全体が競技場と化し、セーヌ川沿いやエッフェル塔前やヴェルサイユ宮殿敷地などで行われた競技に世界中の人々が注目し、「スポーツ」と「都市」と「観光」の共存が見事に表現されました。

政治の面では、世界的には史上最大の選挙イヤーで、アメリカ、ロシア、EU議会、インド、インドネシア、パキスタン、南アフリカ、メキシコ、台湾など、世界各地で選挙が相次ぎました。

乱暴な言い方ですが、世界中で政権与党が惨敗というのが大雑把な結果だったと言えるでしょう。

米国の「またトラ」による影響に関する懸念、欧州では11月のドイツの連立政権崩壊および12月のフランスのバルニエ内閣の総辞職という混乱が続きます。

とは言うものの、米国トランプ次期大統領がその言葉通りに「戦争を終わらせる」ことが出来るのならば、2025年はヨーロッパのみならず世界にとって少しはマシな年になって欲しいと願います。

さて、その2025年について。

経済の面では、欧州委員会(EC)が11月に公表したユーロ圏の経済見通し(以下表ご参照)によると、所得・雇用の回復や、物価上昇の鈍化を背景に消費の回復の恩恵を受けてユーロ圏経済は緩やかな回復が見込まれます。

欧州中央銀行(ECB)による段階的な利下げなどの経済活動における好材料もある一方で、ユーロ圏を牽引するドイツの製造業の停滞やフランスの政治的混乱などの波及も懸念されます。


指標
202420252026
実質GDP成長率   
 (ユーロ圏)0.8%1.3%1.6%
(フランス)1.1%0.8%1.4%
インフレ率   
(ユーロ圏)2.4%2.1%1.9%
(フランス)2.4%1.9%1.8%

【出所】https://economy-finance.ec.europa.eu/economic-forecast-and-surveys/economic-forecasts/autumn-2024-economic-forecast-gradual-rebound-adverse-environment_en

産業の面では、米国では「またトラ」の影響で「脱」脱炭素政策が打ち出されていくでしょう。

一方欧州では、2024年までのエネルギー危機の影響を受けたエネルギー安全保障と気候変動対策の両観点より、再生可能エネルギーや原子力エネルギーへのシフトが継続され、エネルギーの分野に限らず様々な脱炭素関係の投資の拡大が期待されます。

グリーン・デジタル・防衛分野などに重きを置く欧州委員会の施策にブレは無く、これにより新たな産業構造が形成され、雇用創出の可能性も期待されます。

しかし、グリーン経済へのシフトにより新たな市場機会が創出されるのと並行して、複雑・厳格な規制が課されて来た産業界のひずみや、製造コスト増などによる国際競争力低下などの懸念材料については、米国新政権との関係とも合わせて注意深く見守って行きたいものです。

ご参考まで、フランスの政治・社会・経済・産業の日頃の具体的な動きについてはCCIJF HP上の「今週のフランス」の掲載記事を是非ご活用下さいませ。

在仏日本商工会議所(CCIJF)会員各社、会員各位ご家族、そして欧州でご活躍の日系の皆様にとって2025年が素晴らしい年となります様、心よりお祈り申し上げます。