CCIJF – 在仏日本商工会議所

業界こぼれ話

STANLEY-IDESS S.A.S. 川瀬 康

フランスの冬は厳しいとよく耳にする。
暗くて、寒くて、曇りがちな毎日が続くからである。
夏場は5時から21時過ぎまで明るく、冬場は17時には暗くなってしまう。
この夏場とのギャップが余計に「厳しさ」を感じさせるのであろう。
ただ、私はこの春にフランス赴任となり、初めて来るこの季節を少し楽しみにしている。
その理由を業界こぼれ話も交えてまとめてみよう。

と、その前に少しスタンレー電気株式会社のご紹介をさせていただきたい。
当社は1920年に創業し、継続して光に関係する製品をご提供させて頂いている。
現在では赤外、可視光、紫外領域までを手がけている。
赤外?可視光?紫外?という方もいらっしゃるかもしれない。
それについてはLaser Systems and Solutions of Europe 小林氏
業界こぼれ話の中で非常に分かりやすくまとめられている。是非ともご一読を頂きたい。

また、具体的な製品は自動車用ランプ、LED/センサー等のコンポーネンツ、
紫外除菌製品、そしてLED照明機器である。
当社のLED照明機器はフランスにおいても景観照明、建築照明向けとして
ご採用をいただいている。

そんな景観照明について、高台から街並みを眺めた際の夜景を想像してみて欲しい。
ランドマークが綺麗にライトアップされ、オフィスや住まいからこぼれる光、
そして、行き交う車のランプと道路に沿って伸びる道路灯の明かり。
その全てが一体となって「感動」する夜景がそこにあるのではないだろうか。
建築物のライトアップはその歴史や想いから導かれるコンセプト、ライティングイメージ、
照度(明るさ)シミュレーション、照明の設置場所確保(照明機器自体が目立たない事も
重要)などを経て、緻密に進められる。そして、綺麗な作品が出来上がるのである。
まさしく景観のための照明だと言える。

しかしながら、すべてが景観のために提供される光ではない。
例えば道路灯はガイドラインや法規があり、ポールピッチ何mに対して、
何車線道路であり、そこにどれくらい明るさを照射し、均斉度はどの程度か等々。
安全に車や歩行者が行動できるように照明計画がなされる。
照明する上での重要事項は車や歩行者の安全であり、景観ではない。
また、オフィスや住まいの光も同様である。仕事がしやすい光、生活をしやすくするための
光として計算がされており、これも景観のためではない。

この様に作り手として「意図していない光」であるにも関わらず、
それが一体になると、景観として人々の感動を得ているということがとても面白い。

これからも直接的に求められる照明機器の役割を担いながら、
間接的に景観の一部として感動を得られるような光を提供していきたいと考える。

夜の長い冬に、光の粒ひとつひとつを眺め、
それぞれの意味や生活を想像してみてはいかがだろうか?
足元をみるとエネルギー問題など、嬉しくないニュースが散見されるが、
光の都を改めて楽しむ時間ととらえ、次のキラキラした夏を待とう。

この場において詳しい場所等は記載できないが、
是非とも当社の照明見学を含めたライティングツアーをご一緒にどうだろうか。