コニャック業界、「減反」による生産調整に着手
コニャック業界が生産調整に着手した。去る13日に業界団体BNICが生産調整案を承認した。
コニャック業界はこれまで強気の増産を続けてきた。しかし、2021年を境に出荷が大幅に減少しており、ここへ来て方針を転換した。インフレ高進と購買力懸念を背景に、主力市場の米国と中国に陰りが出ており、中国政府が検討するコニャック等欧州産スピリッツの関税引き上げの打撃にも備えて、踏み込んだ生産調整を進める。
ネゴシアン(ぶどう畑を持たない生産者)の需要申請に伴う生産割当は、2022年の1ヘクタール当たり14.7ヘクトリットル(純アルコール換算)に対して、2023年には10.5ヘクトリットル、2024年には8.64ヘクトリットルにまで既に減らされている。業界団体は今回、作付け面積の自主的な削減を求めて、生産割当の方は維持することを提案。減反によりぶどうの木を引き抜くことになるが、将来的に需要の推移に応じて再びぶどう畑に戻すことを認める形で、暫定的な減反とする。自主的措置につきどの程度の調整が図れるかはわからないが、5-10%の減反実現を目指す。
コニャックは、2021年に2億2300万本の出荷(36億ユーロ)を達成したが、それ以降は出荷が急速に衰え、2023年には1億6500万本まで後退した。コニャック用ぶどう畑は、2018年時点で7万6000ヘクタールだったのが、現在では8万6000ヘクタールに増えており、業界が進めてきた増産が需要後退の中で仇になっている。なお、中国政府が計画する関税引き上げでは、200リットル以上の容器による輸入が対象外となっていることから、大手のヘネシー(LVMH傘下)は、樽で輸出して中国で瓶詰めを行うことを計画したものの、従業員の反対もあって断念したという経緯がある。