格付け会社S&P、フランスの格付けを据え置き:見通しも「安定」に
格付け会社大手のS&Pは11月29日、フランスの長期債務の格付けを「AAマイナス」に据え置くことを決めた。格付け見通しも「安定」に維持した。
フランスでは、予算法案の国会審議を巡り政局が流動化しており、長期金利もユーロ圏諸国の中で高めの水準へと上昇している。S&Pはそれでも、フランス経済が多様化され、均衡がとれた開かれた性質を保っていることを挙げつつ、フランスが欧州連合(EU)の定める予算上の規定への順守への適合化を、遅れるとはいえ段階的に進めることができると考える、として、格付け据え置きの理由とした。
アルマン仏経済相はS&Pの決定を歓迎し、財政赤字を削減して財政を立て直す上で政府への信頼感を表明したものだとコメントした。
S&Pは去る5月に、フランスの長期債務格付けを1段階引き下げて「AAマイナス」とし、格付け見通しは安定的としていた。10月には、格付け大手のムーディーズとフィッチがそれぞれ、格付けを維持したが、見通しを「ネガティブ」に引き下げていた。S&Pの据え置き決定で、フランスの財政はさらに環境が悪くなるのをひとまず回避できたが、S&Pは、財政赤字を削減する能力がフランス政府に欠けていることがわかったら、また、経済成長率が長い期間に渡り予測を下回るようなことになったら、格下げを決めるとも説明している。