フランス軍、サヘル諸国からの撤退迫られる
かつてフランスの植民地だったアフリカ諸国で、フランスとの軍事協力を打ち切る動きが相次いでいる。軍事政権下にあるマリ、ニジェール、ブルキナファソ(2022年から2023年にかけてフランス軍が撤収)に続いて、11月29日までに、セネガルとチャドが相次いでフランス軍に撤収を求めることを決めた。
サヘル地方では、イスラム過激派対策を理由にフランス軍が駐留を続けていたが、軍事政権下の3ヵ国は反仏感情を背景に相次いで軍事協力の打ち切りを決定した。これに続いて、セネガルでは、先の総選挙で過半数確保に成功したかつての野党勢力出身のファイ大統領が、フランスとの関係の見直しの枠内で仏軍に撤収を求めると発表。同国のフランス軍兵員は350人を数える。それとは別に、チャド政府も28日夜に、フランスとの軍事協定の破棄をフランス側に申し入れた。セネガルの動きは予想の範囲内だったが、チャド政府の発表は寝耳に水だったといい、フランス政府にとって衝撃は大きい。28日にはバロ外相がチャドを訪問しており、その直後というタイミングも、フランスにとって屈辱となった。
フランス政府は、現デビー暫定大統領まで2代に渡るデビー家の政権を支持し、同国をサヘル地方における軍事活動の拠点としてきた。現在は1000人が駐留している。フランス政府は、一方的な破棄には国際法上の問題があるとみて、政治的対話により妥協を得る可能性を捨てていないが、一連の動きは、中国やロシアへの傾斜を強めるこの地域の諸国の全般的な状況を反映している。フランス政府はその一方で、11月28日と29日の両日には、ナイジェリアのティヌブ大統領の国賓待遇での公式訪問を受け入れており、これまでは関係がより薄かった同地域の経済大国であるナイジェリアとのつながりを強化することを目論んでいる。