CCIJF – 在仏日本商工会議所

給与明細作成ソフト大手SILAE、料金大幅引き上げで騒然

給与明細作成ソフトウェアで大手のSILAEが料金の大幅引き上げを通告し、物議を醸している。SILAEは顧客の不満の声に配慮し、値上げ幅の緩和に応じることを決めた。経済紙レゼコーが報じた。

SILAEは、会計事務所を直接の顧客としており、会計事務所の顧客である企業が役務の直接の受益者となる。月間で750万通程度の給与明細がSILAEの提供するソリューションを通じて作成されている。民間部門の給与明細は全体では月間に2100万通に上るため、SILAEのシェアは33%程度ということになるが、一定の規模以上の企業は、給与明細の作成を内製化していることから、会計事務所が零細・中小企業から請け負う業務に限ると、SILAEのシェアは圧倒的になる。SILAEは売り手市場であることを頼みとして、2024年1月にも料金を30%程度引き上げており、去る9月には、2025年年頭からの適用として、場合により3倍(1枚につき2.025ユーロから5.75ユーロへ)という大幅な引き上げを通告した。SILAEは、人事管理等のモジュールを追加した統合的ソリューション「My SILAE」への移行を理由に値上げを決定。料金に見合うだけ、サービスが大幅に強化されると説明しているが、会計士組合のドサンミシェル会長は、「小型車で済むのにランボルギーニを売りつけられるようなものだ」として、零細企業のニーズにはそぐわないサービスを売りつけられることに反発している。これを好機とみて、ベンチャー企業のYeapは、競合サービスの売り込みに力を入れており、SILAEも逆風に鑑みて、軌道修正を決めた。値上げの段階的な適用(2027年まで)や、従業員数10人未満の企業向けの特別料金の導入を約束した。