コンサルティング・メディアコンテンツ・サービス:五十嵐 幹直/フロンティア・マネジメント
新年明けましておめでとうございます。
在仏日本商工会議所会員の皆様、そしてご家族の皆様に謹んで新春のお慶びを申し上げます。
弊社は2022年7月よりフランス駐在を開始し、日本と欧州の両極から日本企業様の欧州におけるM&Aをサポートしておりますが、2023年8月にはパリのM&Aアドバイザリー会社(Athema社)の株式を取得し体制を拡充して参りました。
そういった意味で、2023年は弊社自身もフランス関連のM&Aの担い手となったわけですが、2022年に続き2023年もM&A市場全体では取引額が大幅に減少し、厳しい1年となりました。2023年1-11月で世界全体のM&A取引額は前年比約2割減、欧州全体では3割強減というデータが出ていますが、フランスも前年比3割程度の減少で着地する見通しです。
この背景としては、エネルギー高、インフレ、利上げ等の世界的なマクロ的要因が挙げられますが、特に、買手としては高い価格を提示し難く、売手としては価格目線を下げられないため両者の期待価格に乖離が生じ、2022年後半以降、多くの案件で様子見の状態が続いていることが大きいものと感じています。
2024年も上記のマクロ的要因がどう動くかにより大きく変わりそうですが、長らく売却を待たされている企業所有者(売手)の存在や、米国における利下げ観測も踏まえると、膠着状態が破られM&A取引が再び活発化する可能性が高いものと予想されます。
一方、フランス企業を対象とした日本企業による買収・投資という観点で言いますと、2023年は半導体大手ルネサスエレクトロニクスによるシーカンス・コミュニケーションズの買収(約355億円)、表面処理大手の新東工業によるエラスティコスの買収(約410億円)等の20件以上の案件が公表されており、2022年に比べ増加しました。このように、フランスM&A市場全体と日本企業の動きは必ずしも連動しませんが、少なくとも2024年は前年以上の投資機会がフランスにおいて発生するものと期待されますので、弊社としても一層日本企業様の買収・投資をサポートできればと考えております。
本年も在仏商工会議所会員各社様の益々のご発展と会員各位およびご家族のご健康、ご多幸を心よりお祈り申し上げます。