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ルノー、仏工場に10億ユーロを投資

仏自動車大手ルノーは翌日に株主総会を控えた6月14日、フランスを電気自動車(EV)事業の拠点と位置づけ、国内4工場で2022年までに総額10億ユーロの投資を行うと発表した。この投資は2016年末に発表された2019年までの仏工場刷新への投資(5億ユーロ)に追加して行われる。

計画によると、ルノー・日産自動車・三菱自動車・アライアンスの新たなEVプラットフォームをドゥエ工場に導入し、既存EV「ゾエ」とは異なる新型EVを2021年から生産する。また現在年間に6万台の「ゾエ」を生産しているフラン工場ではその生産能力を2倍に増強する。クレオン工場では電気モーターの生産能力(現在は8万台)を3倍に強化し、また2021年以降に新世代のモーターを生産する。モブージュ工場では「カングー」のEVバージョンである「カングーZ.E.」を含む次世代「カングー」を生産する。

なお、ゴーンCEOは英フィナンシャルタイムズ紙とのインタビューで、2022年の任期満了を待たずにルノーのCEOを退任する可能性を示唆した。また仏ルフィガロ紙とのインタビューでは、ルノーと日産の合併の可能性について、アライアンスの恒久的存続こそが自分の目指す目標であり、合併はそのための可能な手段の一つだが、他の様々なソリューションと同列に検討していると説明した。(「日刊メディアダイジェスト」6月15日より転載)

 

保守野党の共和党、カルメル副党首を解任

保守野党の共和党は17日、ビルジニー・カルメル副党首(女性)を解任し、代わりにジャン・レオネティ氏を副党首に指名すると発表した。党内の軋轢が表面化した格好になった。

カルメル副党首は、ジュペ元首相が市長を務めるボルドー市で助役を務めた。党内の中道寄りの穏健派を代表する人材として、右寄りのボキエ党首がナンバー2に選んだが、このところ党運営を巡る対立が鮮明になっていた。カルメル副党首は特に、最近にボキエ党首が開始したキャンペーンのスローガンである「フランスがフランスであり続けるために」を問題視。党首の「右傾化」を公然と批判していた。この週末には副党首の新たなインタビューがパリジャン紙に掲載され、副党首はこの中で、改めて党首の批判を繰り返したことから、党首は解任に踏み切った。

共和党に対しては、「国民連合(RN)」への党名変更を決めた極右勢力が連携に向けた秋波を送っている。ボキエ党首が右寄りの傾斜を強める中で、党の行く末を懸念し、党から距離を置いた有力者も多い。その一方で、保守系日刊紙ルフィガロは、党執行部において副党首は浮き上がった存在であり、解任は執行部を構成する全員が賛成していると報じて、党の結束は固いと強調している。

 

CLOVES症候群に画期的治療法

CLOVES症候群の画期的な治療方法が発見された。パリのネッケール小児病棟勤務のギヨーム・カノー医師が試験的に行った投薬の成果が、6月13日付のネイチャー誌上で報告された。

CLOVES症候群は体の一部が膨張を続ける希少疾患。細胞の増殖をつかさどる遺伝子PIK3CAの変異が原因で起こると考えられている。カノー医師は、同じくPIK3CAに働きかけてがん細胞の増殖を抑止する目的で開発中の医薬品をCLOVES症候群の患者に試験的に投与することを思い立ち、当局の許可を得て2015年から開始した。ノバルティス社が開発中の「BYL719」が投与された。その結果、症状が完全に消え、患者は通常の生活を営めるまでに劇的に回復した。以来、17人(うち子どもが14人)の患者が投与を受けているが、いずれも顕著な回復を示しており、副作用も見られないという。

並行して行われたマウス実験では、投与を停止すると症状が再発することが分かっており、この冬に積雪と鉄道ストが原因で投薬が4日間中断された4人の患者には、やはり症状の再発が見られたという。ノバルティス社は投薬中の患者に供給を継続することを約束している。(「日刊メディアダイジェスト」6月14日より転載)

 

カルフール、プラサ前CEOの高額報酬に批判

食品小売大手カルフールは15日に株主総会を開く。プラサ前CEOの高額報酬などを巡り労組が反発しており、荒れ模様の展開となっている。

同社の労組と従業員持ち株会は揃って、大規模な人員削減(2400人の管理職希望退職、1800人を雇用する小規模店舗網244店の閉鎖)が進められる中で、3億5600万ユーロの配当がなされるのは異常だと主張。また、業績不振の中で辞任したプラサ前CEOに2017年分として1317万ユーロの報酬が支払われるのは不謹慎だと批判している。前CEOの報酬に対して批判的なのは労組だけではなく、レゼコー紙によれば、経営者報酬に関する自主協定(Afep-MEDEF)の履行状況を監視する「企業ガバナンス高等委員会」も、カルフールに対して協定違反を指摘したという。具体的には、健康上の理由もあり退職して年金受給を開始したプラサ氏に対して、競業避止条項に係り390万ユーロの手当が支給されるのはおかしいとする意見があり、また、業績連動型の報酬の支給基準に関する情報が開示されておらず、業績不振にもかかわらず高額報酬が支払われているという印象を与えているのも問題だとする批判もある。

 

欧州司法裁、仏クリスチャン・ルブタンのレッドソールを商標認定

欧州司法裁判所は12日、仏高級靴ブランドのクリスチャン・ルブタンの赤い靴底(レッドソール)を「位置の商標」として認める判決を下した。

クリスチャン・ルブタンは、レッドソールのハイヒールの靴を、主に仏INPI(産業財産庁)などで商標登録している。同社は商標登録に基づいて、類似品を相手取った訴訟を複数件起こしており、2013年にはオランダで同国のVan Haren社を提訴した。オランダの裁判所は第1審でルブタン側の主張を認める判決を下し、Van Haren社の控訴を経て行われた第2審が、欧州司法裁判所に判断を求めていた。Van Haren社側は、このような商標登録は無効だと訴えたが、欧州司法裁は、ハイヒールの靴の底に特定の色を配するというアイデアは「位置」について認められる商標として適切であると認定、ルブタンによる商標登録は有効だと認めた。この判決は、欧州諸国における判例として機能する。(「日刊メディアダイジェスト」6月13日より転載)

 

マクロン大統領、患者自己負担ゼロ化について説明

マクロン大統領は13日、選挙公約だった「医療費の患者自己負担ゼロ」の具体的な内容について発表した。眼鏡、補聴器、歯科治療の人工補綴について、段階的に自己負担ゼロを実現する。

自己負担ゼロでは、健康保険と補足健保が全額を負担し、患者は現物給付の形で、まったく支払いをすることなく、眼鏡等を入手することができるようになる。具体的には、「RACゼロ」というラベルを導入、この対象製品に限って自己負担ゼロが実現する。眼鏡については、フレームとレンズを分けて、それぞれに対象製品を設定。フレームは17種が対象になり、その価格は30ユーロが上限になる。逆に、非対象製品の補足健保による払い戻し額上限は100ユーロに引き下げられる(現在は150ユーロ)。

全体として、眼鏡販売店が値下げを受け入れ、補足健保も負担増を受け入れるという形で自己負担ゼロが実現する。補聴器については、対象製品の価格上限が2019年に1300ユーロ、2021年には950ユーロへと段階的に引き下げられるが、眼鏡と同様、販売店は非対象製品を取り扱うことも認められる。

これら3項目に国民が毎年支出する自己負担額は44億ユーロに上る。自己負担ゼロ化により、金銭的な理由で治療を見合わせる人(推計によると、歯科治療の人工補綴の場合は470万人が断念)が少なくなることが期待される。半面、負担増の補足健保が保険料を引き上げる可能性も否定できない。なお、補足健保は任意加入だが現在では企業が従業員に提供する義務などが設定されており、国民の95%が何らかの補足健保に加入している。

 

仏当局、銀行自己資本の最低限引き上げを決める

フランス中銀下の監督機関HSCF(金融安定性高等評議会)は6月11日、銀行の自己資本要件の最低限を引き上げることを決めた。フランス国内のリスクアセットについて、カウンターシクリカル資本バッファーを0.25%に設定した。来月から1年以内の達成を求めた。

HSCFがカウンターシクリカル資本バッファーを設定したのは今回が初めて。HSCFはこれについて、景気後退局面に入った時に、中小企業向け融資を中心に急激な信用収縮が起こるリスクがあり、それを未然に防ぐための措置だと説明。銀行与信の推移について現状では懸念を抱いておらず、銀行の現状に信頼をしているからこそ採用できる措置だと強調している。また、銀行は現在、自己資本最低限を上回る余裕を備えており、カウンターシクリカル資本バッファー0.25%という設定に伴う実質的な資金確保の必要はほとんどないとも指摘している。

FBF(仏銀行連合会)はこの決定について、設定幅がごく小さいことを認めた上で、顧客に対する融資の姿勢に変更はないと強調。その上で、国内の融資案件の健全性は極めて高いとして、決定は理解しかねるとコメントした。(「日刊メディアダイジェスト」6月12日より転載)

 

政府、3社(ADP、FDJ、エンジー)の保有株式売却の方針固める

経済省は12日、国が出資する3社の保有株式売却を可能にする法改正を行うと予告した。6月18日に閣議決定を予定する通称PACTE法案(企業の成長促進のための法案)に盛り込まれる。

対象となるのは、ADP(パリ空港会社)、FDJ(宝くじ)、エンジー(エネルギー)の3社。うち、ADPの場合は、国が50.6%株式を保有する上場企業だが、出資率最低限が50%に設定されており、この縛りを立法措置を通じて解除する。エンジーの場合も最低限が33%に設定されており、同じく制約が解除される。

ADPの場合、完全民営化に当たり問題になるのが、空港不動産の所有権の問題で、現在はADPがその所有者だが、政府は法案において、70年のコンセッション契約をADPに付与し、期間終了後には所有権が国に戻る形にすることを提案する。ただ、この改正には、現在の少数株主に対する補償が必要になる。民営化後に料金が上昇するという懸念を封じる目的で、独立監督機関の設置や5年ごとの料金見直しなどの規制の枠組みも導入される。こうした規制の導入により、評価額が下がる恐れもある。

FDJの場合、国は現在72%株式を保有し、残りは公益団体などが保有している。スピードくじや番号選択式くじ(ロト)などの独占権を有する国有企業の上場・民営化には抵抗感も強くあり、政府はやはり、規制の枠組みを強化することで懸念をかわす方針。

民営化により得られた収入は、イノベーション支援基金に繰り入れられるほか、公的債務の削減にも充当されるという。

 

マクロン政権の経済政策、エコノミスト3人が疑問視

ルモンド紙の報道によると、マクロン大統領の経済政策のブレーンを務めるエコノミスト3人はこのほど、共同で意見書を大統領に提出した。富裕層にのみ利する政策に懸念を表明したという。

意見書は、フィリップ・アギオン(コレージュドフランス教授)、フィリップ・マルタン(経済分析評議会CAE議長)、ジャン・ピザニフェリー(マクロン大統領の選挙キャンペーンに協力)の3氏が、大統領の依頼によりまとめた。意見書は、当初の公約が社会を変えるという野心を掲げていたのに、それが従来型の構造改革に留まるリスクがあり、それでは富裕層にのみ利益をもたらす政策になりかねないと指摘。社会全体を改革するという目標が見失われ、予定されていた一部の取り組みを推進する者が見当たらないとも指摘し、公正な社会の実現を目指す政策が忘れ去れているとの見方を示した。

こうした意見は、与党のLREMに合流した左派系の議員らの見解とも一致する内容であり、支出削減といった政策を右派系の閣僚らが推進する中で、政策運営が右寄りに傾斜し、左派の有権者層の支持を失うという懸念が高まっている。(「日刊メディアダイジェスト」6月11日より転載)

 

カルフール、グーグルと提携

仏食品小売大手カルフールは11日、米グーグルとの提携を発表した。AI(人工知能)技術の開発で協力し、グーグル・アシスタントを通じた注文サービスなどを開始する。

両社はパリに共同でイノベーションセンターを開き、カルフール向けの技術を共同で開発する。年内には、グーグルの各種プラットフォームを通じたカルフールの非食料品の取り扱いを開始。次いで、2019年初頭からは、グーグル・アシスタントを搭載した各種端末(グーグル・ホーム含む)を利用した食料品の注文も可能になる。顧客は注文した商品を店舗に取りに行くか、配達させる。なお、カルフールは、配達のエリア拡大や注文品の受け取りをしやすくする(小型店舗でも受け取り可能に)取り組みを別途進めている。

カルフールのボンパールCEOは、デジタル事業の強化を戦略課題に掲げており、仏国内では2022年までにEコマース市場で20%のシェア獲得(売上高50億ユーロ)を目標に掲げている。グーグルとの提携はその実現に向けた重要な一歩となる。グーグルも、食料品販売分野での事業展開はこれが世界でも初めてで、一つの転機となる。この提携により生じるデータは両社が共同で利用するが、カルフールによれば、所有権はカルフールに帰属するという。

 

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