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「黄色蛍光ベスト」の抗議行動、15日には下火に

15日には5回目となった「黄色蛍光ベスト」の抗議行動が全国で行われた。内務省集計では、全国の抗議行動の参加者数は6万6000人となり、前週と比べて半分に減った。パリ市内で行われたデモの参加者数も数千人に留まり、大規模な破壊行動などの混乱は発生しなかった。

燃料価格高騰への抗議に端を発した「黄色蛍光ベスト」の抗議行動は、毎週土曜日に大規模なデモを実施。3回目となった12月1日にはパリのシャンゼリゼ地区を中心に大規模な暴動騒ぎに発展。4回目の土曜日を経て、マクロン大統領は購買力増強の一連の措置を予告、当局が厳重な警戒態勢を敷いたこともあって、暴力的な衝突はようやく下火になった。

大統領が予告した措置を早期に実行するには技術的な困難も大きい。フィリップ首相は17日付の経済紙レゼコーとのインタビューの中で、具体的な説明を行った。一連の措置の規模は100億ユーロに上り、首相は、財政赤字の拡大を招くのは避けられないと説明。従来の予定では、財政赤字の対GDP比は2019年に2.8%に上るはずだったが、これが3.2%に上昇すると説明。首相はこれについて、CICE(競争力・雇用税額控除)の恒久的な社会保険料減免措置への切り替えに伴う一時的な膨張を除けば、財政赤字の対GDP比は1.9%に収まるはずだったとし、新たな措置も含めて財政赤字は3%ラインを超えることになるが、40億ユーロ規模の補正措置をあわせて実施し、膨張が大きくならないように配慮すると説明した。具体的には、法人税率引き下げを大企業(年商2億5000万ユーロ以上)について1年間延期し(18億ユーロ)、インターネット大手課税の2019年からの導入(5億ユーロ)、グループ内取引に係る税制優遇措置の見直し(2億ユーロ)、などに、支出節減を組み合わせて実施すると説明した。

フィリップ首相は同じインタビューの中で、「黄色蛍光ベスト」の参加者らが、直接民主制の導入を要求していることに触れて、市民発議による国民投票(RIC)制度の導入に前向きの姿勢を示した。この種の国民投票はスイスなど欧州数ヵ国で導入されており、市民による一定数の署名を経て、国民投票により法令の制定や廃止などの意思表示を行うことが可能になる。首相は導入について議論に応じるとした上で、実施に当たってはしかるべき条件を設定することが前提となると説明した。

事件が及ぼした政治的な影響については、日曜紙JDDに16日付で発表された世論調査の結果が注目されている。これによると、大統領選挙の第1回投票が明日行われたら誰に投票するか、との問いへの答えを集計したところ、極右RN(旧FN)のマリーヌ・ルペン党首が27.5%の得票率で、マクロン大統領と完全に並ぶとの結果が得られた。これは、共和党の候補がボキエ党首(前回大統領選ではフィヨン元首相だった)と仮定した場合の数字による。

 

フォード、仏ブランクフォール工場を閉鎖へ

米自動車大手フォードは12月13日、仏ブランクフォール工場(ジロンド県)の閉鎖を決定した。1972年からトランスミッションを製造し、850人を雇用する同工場に対しては、ベルギーのトランスミッションメーカーであるパンチ・パワーグライドが買収計画を提案していた。パンチ・パワーグライドは従業員の半数未満しか引き取らない計画だが、ルメール仏経済相はこの買収案を支持し、フォードに受け入れを求めて圧力を強めていた。工場の従業員も11日、パンチ・パワーグライドと労組が結んだ合意を承認し、同社が人件費削減のために要求する条件を受け入れていた。国と地元自治体は1500万ユーロの補助金により、この計画を支援することも約束していた。

しかしフォード側はパンチ・パワーグライドの買収案はリスクが大きいと判断し、閉鎖を選択した。フォードは、2009年にも同工場を独HZ社に売却して撤退後、工場の財務状況悪化を受けて2011年に買い戻しを迫られたという苦い経験があり、当初から売却には後ろ向きだった。フォードは同工場の操業を2019年8月末に終了する予定で、従業員には配転などを提案する意向。

ルメール経済相、ジュペ・ボルドー市長、ルーセ・ヌーベルアキテーヌ地域圏議長などは一致してフォードに再考を求めた。経済相はフォードの「卑劣な裏切り」を批判し、ブランクフォール市のフェレーラ市長も「(ほかの関係者が全員努力したのに)フォードだけが何の努力もしなかった。許しがたい態度だ」と憤っており、工場の労組も「フォードが耐えきれずに後悔するまで」徹底抗戦する姿勢を示すなど、フランス側の関係者の反発は強い。(「日刊メディアダイジェスト」12月14日より転載)

 

公務員部門の雇用数、本体に限定すると0.8%増を記録

13日発表のINSEE統計によると、公務員部門の雇用数は2017年末に566万人となり、1年前から4800人、率にして0.1%減少した。前年は0.4%の増加を記録していたが、2017年には減少に転じた。ただ、この減少は、公的援助が伴う雇用の削減に由来するもので、これを除いた公務員3部門(国家、地方、公共医療機関)の職員数は、0.8%増(4万5000人増)の550万人に増えた。

内訳は、国家公務員が0.9%増の240万人、地方公務員が0.9%増の190万人、公共医療機関職員が0.7%増の120万人と、いずれも明確に増加した。公的援助が伴う雇用では27%近くの大幅削減がなされた。

省庁別では、教育省及び高等教育・研究省で2万600人の増加を記録。内務省(5200人増)と法務省(1300人増)でも増加を記録したが、経済・財務省、環境省、住宅省などでは削減がなされ、差し引きで2万3000人弱の増加となった。

マクロン大統領は任期中に5万人の公務員数削減を予定している。このために、退職公務員に対する失業手当の支給や、再編支援を目的とした5000万ユーロの基金の設立などが予定されている。

アルストムとシーメンス、合併許可の取得を目指し欧州委に提案

仏アルストム(鉄道機器)と独シーメンスの鉄道機器部門の合併計画について、両社は12月12日、売上高で6億ユーロ相当の事業を手放す計画を欧州委員会に提出したと発表した。欧州委は10月29日、この合併計画に異議を表明しており、両社は欧州委からの許可取得を目指して、この提案を行った。提案の内容は明らかにされていないが、両社によると、信号及び鉄道車両部門の事業売却などを通じて、新会社の売上高の4%に相当する6億ユーロの事業を手放す。欧州委は2月18日までに合併の是非を決定する。

合併計画については、カナダのボンバルディア、西CAF、スイスのシュタッドラー・レールなどの競合メーカーのほかに、英鉄道網の管理機関が、競争を阻害する巨大企業が誕生すると懸念を表明していた。(「日刊メディアダイジェスト」12月13日より転載)

ストラスブールの銃撃事件、当局はテロ容疑で公開捜査

11日夜にストラスブール市内で発生した銃撃事件で、仏当局は逃亡中のシェリフ・シェカト容疑者(29)を12日に国際指名手配とし、公開捜査を開始した。シェカトは隣国のドイツやスイスに逃亡した可能性もあり、国内の捜索ともあわせて、近隣諸国にも協力を要請した。

12日にアルザスの地検が発表したところによると、容疑者は11日20時少し前に、大聖堂に近い歩行者専用の街区で拳銃を乱射。その後も中心街の3ヵ所で、拳銃及び刃物で攻撃を続けた。その際に、「アラー・アクバル」と数度に渡り叫んだという証言もある。中心街内で警戒に当たっていた軍人のグループと交戦して負傷、その後、タクシーを奪取して郊外のヌードルフに向かい、そこでも警官隊と交戦後に姿を消した。ヌードルフは容疑者の居住地区だった。地検はテロ容疑による捜査が開始されたと発表した。この襲撃では、2人が死亡、1人が脳死状態で入院中であり、ほかに12人の負傷者(うち6人は重篤な状態)を出した。死亡したのは、ストラスブール市内に住む男性とタイ人の観光客の男性で、脳死状態となったのは、ストラスブールに住むアフガニスタン人の難民の男性であるとする報道もある。

手配中のシェカト容疑者は29才、ストラスブールに生まれ、同地で育ったフランス国籍の男性で、盗難や暴行などで27回の有罪判決を受けている。フランスのほか、ドイツとスイスでも逮捕・収監されている。収監中にイスラム過激化し、2016年からいわゆる「Sファイル」に登録され、要注意人物の扱いとなっていた。警察は犯行前日の10日、犯罪に関係した容疑でシェカトの自宅を捜索したが、本人は不在で、自宅から手りゅう弾や銃器などを押収していた。事件の発生を受けて、警察はシェカトの両親と2人の兄弟を勾留し、取り調べを進めている。シェカトはもう一人の兄弟と共に逃亡中であり、ドイツに逃れたとする報道もある。

 

公務員部門の代表選挙:CGTが首位守る、官民合計ではCFDTがトップに

公務員部門の代表選挙がこのほど行われた。速報によると、全体で労組CGTが得票率トップの座を守った。官民を合計した全体では、CFDTがCGTを抜いて初めてトップの座に立った。

公務員部門の全体の得票率では、CGTが21.8%となり、CFDTの19%を上回った。ただ、CGTは前回選挙から1.2ポイントの低下を記録。CFDTは後退幅が0.3ポイントに留まり、両者の差は縮まった。以下、FO(18.1%)、UNSA(11.2%)、FSU(8.7%)、ソリデール(6.3%)などが続いた。

分野別では、国家公務員部門でFO(17.1%)がトップの座を守った。地方公務員部門では、CGTが28.8%でトップ、CFDTが22.5%で続いた。公立病院部門では、CGTが31.6%でトップ、FOが支持を伸ばして2位となり(24.8%)、CFDTが24.3%でこれに続いた。投票率は49.8%で、50%を割り込んだ。

先に行われた民間企業の代表選挙では改革派労組のCFDTがトップの座を得ており、公務員部門では2位だったが、リードを保って全体で初めて最大労組となった。抵抗派労組のCGTはトップの座を譲り渡した。ただ、両労組とも公務員部門における支持率は後退しており、既成の大手組合の影響力が低下するという構図も見受けられる。(「日刊メディアダイジェスト」12月12日より転載)

 

ストラスブールで銃撃戦、3人が死亡

ストラスブール市内で11日夜、銃撃戦が発生した。3人が死亡、12人が負傷した(うち6人は重体)。単独犯による犯行で、犯人は逃走した。当局はテロ警戒レベルを最高の「緊急事態」に引き上げると共に、犯人の捜索を続けている。

事件は11日の20時少し前に発生した。クリスマス市の終了直後、大聖堂付近で銃撃が発生。続いて中心地内で犯人と治安部隊の間で交戦が発生。犯人はその後、タクシーを奪い逃走した。タクシー運転手は無事で、その証言によると犯人は負傷していた。犯人は、自動小銃と刃物で武装していた。当局はストラスブール市の中心街を封鎖したが、12日2時に解除した。

報道によると、犯人はストラスブールに住む29才の男性で、イスラム過激派として、2年前に「Sファイル」(監視対象の要注意人物を網羅したリスト)に登録されていた。警察は、強盗などの容疑でこの人物の行方を追っており、前日には家宅捜索を行い(犯人は不在)、武器などを押収したといい、襲撃のきっかけが、例えば犯罪者間の抗争に端を発していた可能性は残る。

 

パリ株式市場のIPO、2018年に後退

パリ株式市場における上場は2018年に18件となり、総額では11億ユーロの規模となった。前年の24億ユーロから大きく後退、2016年の水準(9億ユーロ)近くに後退した。2018年の最大の案件はNeoen(再生可能エネルギー)で、上場規模は7億ユーロに上った。これ以外では、2CSRI(データストレージ)の5000万ユーロが最大規模で、Neoenを除けば、上場規模は平均で2200万ユーロと規模は小さく、18件のうち11件は中型株専門市場のユーロネクスト・グロースにおける上場だった。ちなみに、前年の2017年の最大案件はALD(ソシエテジェネラル銀行の自動車リース子会社)で、13億ユーロの規模に上っていた。

2018年には、ノバレス(自動車プラスチック部品)、オートディス(自動車部品販売)、コンソリス(プレキャスト工法ソリューション)の3社が市況を理由に上場を断念。ドラショー(鉄道機器)はケベック州預金供託金庫により買収される道を選んだ。うち、ノバレスとオートディスは2019年に新たに上場を狙う可能性がある。国営FDJ(宝くじ)の上場の可能性も取り沙汰されており、GEFCO(物流)が上場する可能性もある。2019年には前年よりもIPOの実績が好転することも期待できる。(「日刊メディアダイジェスト」12月11日より転載)

 

マクロン大統領、購買力増強の措置を約束

マクロン大統領は10日夜、国民向けのテレビ演説を行った。13分間に渡り、購買力増強を目的とした新たな措置を説明した。

燃料価格への抗議を発端に始まった「黄色蛍光ベスト」の抗議行動が4週目を迎え、批判の矛先は、マクロン大統領の「傲慢な態度」と、「不平等な社会と国民が陥っている窮状」に移っていた。大統領は、今回の演説で、国民の声に耳を傾ける姿勢を示すことで、事態の打開を試みた。また、勤労者が就労によりしかるべき生活ができるような社会の実現に努めるとして、新たな一連の措置を予告した。

まず、低所得の勤労者を対象にした手当「プリームダクティビテ」を2019年から増額すると予告。法定最低賃金(SMIC)の場合で月額100ユーロの増額になるとし、これにより、企業側の負担を増やすことなく、勤労者の所得を増強すると説明した。次に、超過勤務に係る社会保険料及び租税を2019年初頭から撤廃すると予告した。また、発表済みのボーナスに係る非課税枠の導入(任意制度)についても確認した。大統領はこれに加えて、年金受給者のCSG(社会保障会計の財源となる目的税)増税の見直しを約束。2018年年頭に施行されたCSG増税を、年金受給額が2000ユーロ未満(独身者の場合)の者について、2019年から廃止すると予告した。

大統領はこれらの措置の財源については明らかにしなかったが、ISF(連帯富裕税)復活の可能性は否定。その上で、大企業の経営者にしかるべき納税を求め、また、大企業はフランスにおける事業に係りしかるべく納税をするべきだと言明した。発表済みの措置(燃料税増税の断念等)を含めて、一連の措置による2019年の収入欠損は110億ユーロに上るものと見られている。その一方で、経済成長は減速傾向にあり、このままだと、財政赤字の対GDP比は3.5%程度まで膨張する恐れがある。なお、ルメール経済相は10日朝、抗議行動の経済への打撃について、10-12月期のGDPを0.1%押し下げるとの予測を示した。フランス中銀は、10-12月期の経済成長率(前の期比)を0.4%から0.2%へ下方修正しており、2018年通年の政府公式予測である1.7%の達成は絶望的となった。

大統領の発表について、「黄色蛍光ベスト」の参加者らの多くは、不十分な内容だと主張し、抗議行動を継続すると語っている。大統領の辞任を要求する声が上がっており、左翼政党「不服従のフランス」を率いるメランション下院議員などは、熱心に解散総選挙を要求している。

 

仏ベネトウ、米国からポーランドに生産を移転

プレジャーボート大手の仏ベネトウは、米国産の一部モデルの最終組み立てをポーランドに新設したオレツコ造船所に切り替えることを決めたと発表した。12月8日からパリで開催中の見本市ノーティックの機会に発表した。

欧州連合(EU)が、米国との貿易摩擦の対抗策として、米国で建造されたプレジャーボートへの関税率を25%に引き上げたことに対応して、「Four Winns」と「Glastron」の2モデル、数百隻の最終組み立てをポーランドに移転する。ハルは米国から輸入、これには25%の関税がかかるが、エンジン製造と組み立ては欧州内で行い、全体の関税率が下がるよう工夫した。

ベネトウは昨年度に12億ユーロの売上高を達成したが、うち30%を米国で挙げている。米国販売の45%は現地生産が占める。ベネトウの試算によると、関税引き上げの影響を受ける事業の規模は、売上高にして2650万ユーロに上る。

なお、業界団体FINによると、仏プレジャーボート業界の売上高は2018年8月期に52億ユーロとなり、前年度の48億ユーロから8%増加した。従業員数も4万3000人に増えた(前年4万1500人)。売上高に占める輸出の割合は、前年度から1ポイント上昇し、76%に達した。半面、国内の販売は後退した。(「日刊メディアダイジェスト」12月10日より転載)

 

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