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政府、失業保険制度改革の交渉開始を労使に要請

ペニコー労相は21日、官房スタッフを通じて、失業保険制度改革に向けた労使交渉への政府としての要望を提示した。労使はその内容に早くも不満を示している。

失業保険制度は労使共同運営を建前としている。政府は、労働市場の改革を最重要課題の一つに位置付けており、労働法典改正と職業教育制度等の改正に続く第3弾に失業保険の改革を位置づけ、労使に改革のための交渉を開始するよう求めている。政府は特に、短期の有期雇用契約と失業手当の受給を交互に繰り返し行うなどの人が増え、失業保険が本来の役割と異なる形で利用されていることを問題視し、そうした状況を是正するための措置を決めるよう要請。また、失業保険会計の累積債務が35億ユーロと過去最高の水準に達していることを問題視し、3年間に追加で30億ユーロ以上の節減を実現するよう求めた。

労組は、政府が節減を前提とした交渉の実施を求めていることに反発している。政府は数日中に交渉に関する方針を定めた文書を労使に送付し、労使に交渉開始の是非の決定を委ねることになる。

 

パリのクリヨン、超高級ホテル「パラス」の認定を獲得

パリの高級ホテルのクリヨンはこの度、5つ星ホテルの上に位置付けられる「パラス」の認定を獲得した。クリヨンは2013-17年に大規模な工事を実施し、1年前にリニューアルオープンした。2010年末からサウジ王家のメンバーが所有し、米高級ホテルのローズウッドホテルズ&リゾーツが運営する。パリで「パラス」の認証を受けているのは、プラザアテネ、ルロイヤルモンソー ラッフルズ、ジョルジュサンク、ルレゼルブ、ホテルブリストル、ルムーリス、マンダリンオリエンタル、パークハイアットパリバンドーム、シャングリラ、ペニンシュラの10軒で、クリヨンは11軒目となる。

次回のパラス認定の申請は12月15日に締め切られる。4年以上の工事を経て、今夏にリニューアルオープンしたホテルルテシアはこれに申請をする予定。工事中の火災が原因でリニューアルオープンが遅れたリッツホテルは、今回は申請を見送る。(「日刊メディアダイジェスト」9月21日より転載)

 

政府、工業部門のデジタル化推進策を公表

フィリップ首相は20日、ダッソーシステムズ(3Dソフトウェア)を訪問した機会に、工業部門のデジタル化推進策を公表した。中小企業のデジタル化推進を後押しする姿勢を示した。

首相はまず、2019年1月から2020年末までになされたデジタル化を目的とする設備投資(3Dプリンタ、拡張現実ソフトウェア、ロボット、IoTセンサなど)に係り、減価償却費の40%上乗せを認めると予告。これは投資額の11%の援助に相当するという。首相はまた、データセンターの振興を目的として、電力消費税(TICFE)の軽減税率(1MWhにつき12ユーロ)を導入し、データセンターに適用すると予告。これにより、欧州規模のクラウド・サービスをフランスに誘致する環境を整える。首相はこのほか、地域圏単位で、中堅企業のデジタル化推進を支援する施設を展開し、この分野における経営者の能力向上等に協力すると約束した。また、様々な当事者(地域圏、BPIフランス、高等教育機関など)の連携を強化しつつ、工業部門の中小企業3万社を対象にした啓蒙活動を展開すると予告した。全体として、中小企業支援に5億ユーロを投入すると予告。うち半分は設備投資に係る減価償却費の上乗せが占めるという。

首相はまた、特許税制の改正も予告。政府は、特許による収入に適用される15%の軽減税率(通称パテントボックス)について、対象範囲を制限することを計画しているが、この改正の機会を利用して、ソフトウェアのライセンス収入をパテントボックスの対象に加える方針を予告した。詳細については明らかになっておらず、ソフトウェア業界の中には警戒する向きもある。

 

欧州委、マクドナルドの租税回避措置の調査でシロ判定

欧州委員会は9月19日、不当な公的援助の疑いでマクドナルドを対象に行っていた本格調査の結果、違法性はなかったとする判定を下した。

欧州委は、マクドナルドが利益をルクセンブルク子会社に集めることにより租税を回避していた疑いで、3年前に正式調査を開始していた。調査では、マクドナルドにタックスルーリングを通じて有利な措置を認めていたルクセンブルクの行為が不正な公的援助の付与に当たるかが焦点となった。同様の案件では、フィアット(2015年)、アマゾン(2017年)、仏エンジー(2018年6月)が、いずれもルクセンブルクとの関係において、またアップル(2016年)がアイルランドとの関係において、不正な公的援助を受けたと認定され、その返還を命じられており、マクドナルドのシロ判定は意外の念を以て受け止められている。

マクドナルドはこの件で、米国における課税対象となることを理由に挙げて、ルクセンブルク政府から課税免除を認められていた。ただ、マクドナルドは法律上の不備を突く形で、米国でも課税を免除されていた。この件を欧州委に告発したNGOによると、マクドナルドはこの手法により、2009年から2013年にかけて10億ユーロ相当の課税逃れを欧州において行っていた。欧州委は調査の末に、本件で「二重非課税」が発生したのは、米国とルクセンブルクの税制の間の齟齬が原因であり、ルクセンブルクが個別的に優遇を認めたために発生したものではないと認め、不正な公的援助には該当しないとの結論を下した。

ルクセンブルク政府は今回の判定を歓迎。マクドナルドも「支払うべき公租公課は納付している」として判定を歓迎した。なお、ルクセンブルクは去る6月に提出した税制改革案を通じて、この件のような事案は今後発生しないようにすることを約束している。(「日刊メディアダイジェスト」9月20日より転載)

 

政府、保証保険の増税を計画

報道によると、政府は保証保険に係る租税の増税を計画している。課税対象の拡大により、将来的に年間5億ユーロの税収を追加で確保する。追加税収は住宅政策推進の資金に充当される。

保証保険は住宅ローン締結時に、債務不履行のリスクをカバーする目的で金融機関が債務者に対して加入を求める保険。現在、保険商品を対象にした租税であるTSCAは、保証保険の場合は一部のリスク(失職、身体障害を伴う負傷など)に対応する分の保険料のみが課税対象となっているが、これを死亡など他のリスクに対応する分にも課税する。新規契約について2019年から適用され、2019年には1億ユーロ程度の税収増加が見込める。将来的には年間5億ユーロ程度の税収増加となる見込み。

政府は別途進めている税制改革により、低家賃住宅の斡旋などを行うアクション・ロージュマンの財源不足が生じる(年間3億ユーロ程度)ことから、これを補填する目的で、今回の増税案をまとめたという。保証保険は従来、銀行が自ら提供する商品を債務者に加入させる形となることが多かったが、政府は競争導入を目的に、途中解約と乗り換えを可能にする制度を整備している。ただ、今回のような増税は、保証保険の専業業者の場合で特に、保険料に転嫁するを得なくなる可能性が高く、競争を逆に阻害する効果を及ぼす恐れもある。

 

政府、「サードプレイス」振興策を発表

政府は9月19日、「サードプレイス」整備プランを公表する。官民の協力により3年間で1億1000万ユーロの投資を目指す。

仏政府は、コワーキングスペースやファブラボなどの施設を「サードプレイス」と分類し、その現状調査を依頼していた。その報告書に基づいて、特に都市部以外での振興を目的とするプランをまとめた。

具体的には、サードプレイスの設立を支援する基金を設立。基金の規模は6000万ユーロとし、うち2000万ユーロを国が拠出する。この基金は、サードプレイス設立時の最大の費用項目である不動産(40-60%に相当)関連の支援を中心に行う。もう一つ、社会的責任投資ファンドが5000万ユーロを原資として設立され(民間資金により賄う)、こちらは既存の施設をサードプレイスに鞍替えする取り組みを資金面で支援する。

調査報告書によると、全国には「サードプレイス」に分類される施設が1453ヵ所を数える。計画中のものも含めると1800ヵ所に上る。その54%は都市部に集中しており、農山漁村地域の振興を目的とした設立支援が課題となる。また、サードプレイスのうち黒字なのは4割程度に過ぎず、特に小型の施設(500平方メートル未満)では過半数で利用者数が不十分な状態にある。運営支援を求める声も上がっている。(「日刊メディアダイジェスト」9月19日より転載)

 

コロン内相、2019年の辞任を予告

コロン内相は18日刊行の週刊誌レクスプレスとのインタビューの中で、内相職を2019年に辞任すると予告した。2020年の統一市町村選挙でリヨン市市長に復帰することを目指すために閣僚を辞すると説明した。

コロン内相は71才。社会党の出身で、長年に渡りリヨン市市長を務めた後、最初期からマクロン現大統領の大統領選出馬を支持。マクロン政権には内相として入閣し、重鎮という位置づけだった。内相は、市議会選に出馬する以上は、内閣を離れるのが当然だと述べて、2019年5月の欧州議会選挙まで閣僚職に全力投球し、その後に辞任して今度は市議会選の準備に全力を尽くすと説明した。

政府筋では、今回の発表についてはマクロン大統領も承知しており、格別の事件ではないと説明しているものの、コロン内相の辞任予告は大統領にとって痛手となる。特に、内相はこのところ、公然とマクロン大統領の政策運営をいさめる発言を繰り返しており、政権の慢心と驕りを問題視する姿勢を示していた。内相はとりわけ、高齢者層へのしわ寄せ(増税と年金支給額の改定幅抑制)が大きいとして、一連の政府決定を批判していた。

 

マクロン大統領、相続税制改革を否定

大統領府は17日、相続税制の改革をマクロン大統領の任期中に実施する可能性を全面的に否定した。

これより前、与党LREMのカスタネル幹事長は、14日に開いた集会の機会に、一連の改革を準備する検討作業に着手すると予告。その目玉として、相続税制の改革を据えていた。幹事長は、改革の内容について、平等な税制の実現を理念とし、抜本的に制度を改革すると説明、増税とするか、減税とするかには触れていなかったが、マクロン大統領に政策提言を行う経済専門家のブレーンらは、相続税の増税を進言しており、増税の方向で検討が進められる可能性があった。この予告に対して、マクロン大統領は任期中の改革を全面的に拒否した。

相続税制の改革は微妙な課題で、大きな抵抗も予想される。支持率低下に見舞われる中で、マクロン大統領はあえて困難な課題に取り組むのは得策ではないと考えて、改革を却下したものと見られる。ただ、与党内からこのプランが持ち上がった背景には、富裕層の相続に対する課税を強化することにより、「金持ち優遇」と左派方面から批判を受けているマクロン政権の支持回復を狙うという思惑もあったと考えられる。マクロン大統領はそれを全面的に拒否することで、右寄りの姿勢を改めて示したと見ることもできる。(「日刊メディアダイジェスト」9月18日より転載)

 

パリ市のジュイヤール筆頭助役が辞任

パリ市のジュイヤール筆頭助役は17日、辞任の意向をイダルゴ市長に対して伝えた。同日付のルモンド紙とのインタビューの中で辞任の理由について説明した。

ジュイヤール筆頭書記は37才。学生団体UNEFの会長から、パリ市のドラノエ前市長に誘われて政界に入り、社会党から2008年に市議に当選。文化問題担当助役に抜擢された。2014年に筆頭助役からドラノエ市長の後を継いで就任したイダルゴ市長は、ジュイヤール氏を文化担当の筆頭助役に起用し、しばらくの間は二人三脚で市政を運営していた。2年ほど前から両者の関係はぎくしゃくするようになり、ここへ来てついに辞任劇に至った。

ジュイヤール氏はインタビューの中で、2020年の次期統一市町村選挙に向けて、イダルゴ市長から再選を目指すための選挙参謀に就任して欲しいと打診を受けたと明かし、一夏をかけて熟慮したが、辞退することを決めたと説明。そうなれば当然、筆頭助役の職も辞するのが妥当と考えたと辞任の理由を説明した。イダルゴ市長については、選挙公約として示された政策の正しさは今もなお確信しているが、周囲の意見を聞かず、相談もせずに独断で決めるやり方には同意できず、政策の効果的な運営という観点からも適切ではないと言明した。

再選を狙うイダルゴ市長にとって、ジュイヤール氏の離反は痛手となる。イダルゴ市政は、パリ右岸の自動車専用道の歩行者天国化を巡る係争や、自転車レンタルサービスとEVカーシェアリングサービスの契約を巡るゴタゴタなど黒星続きで、今回の右腕の辞任により、市長の孤立の様相は一段と強まった。足元の社会党は、マクロン政権の発足以来で一部の議員がマクロン大統領のLREM党に流れており、選挙を戦うのが難しくなっている。ジュイヤール氏は今もドラノエ前市長に近く、ドラノエ氏はLREM党と接近していることから、ジュイヤール氏がLREMに合流する可能性もあるが、今後の身の振り方については発表されていない。

 

教育省、2019年に1800人を削減へ

ブランケル教育相は9月17日付の日刊紙ルフィガロとのインタビューの中で、2019年に1800人の削減を行うと予告した。中学・高校と事務職を中心に1800人を削減する。教育相は、削減数は全体の0.2%に留まると説明、教育に充当される時間は削減されず、人員削減分は超過勤務によりカバーすると述べ、社会保険料の減免措置が適用される超過勤務の増加により、教員の購買力増強にもつながると強調した。また、必要な場合には超過勤務に応じるよう教員に強制する権限を学校長に付与するとも予告した。

教育相は、全体として教育省予算が来年に8億5000万ユーロ増額されるとも指摘し、小学校教育の強化を中心とする方針を再確認。小学校で基本的学力を習得した生徒たちが中学校に進学するようになることで、中学校の教員もよりよい仕事ができるようになると説明した。また、教員増員の要求については、採用と養成の能力がなければかえって悪い結果を招く恐れもあると述べて、慎重な姿勢を示した。

政府は教育を政策上の重要項目と位置付けており、ブランケル教育相も予算削減の対象となるのは2020年以降と踏んでいたといわれる。ただ、マクロン大統領が掲げる「任期中に5万人の公務員削減」の目標達成が難しくなる中で、教育省も削減努力を求められる格好になった。(「日刊メディアダイジェスト」9月17日より転載)

 

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