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比較で安く買う/海外電力調査会 欧州事務所

日本にいたときは家電製品やパソコンを購入するときによく価格比較サイトを利用していました。リアル店舗を持つ家電量販店やディスカウントストアに加え、ネット専業ショップや巨大なネットモールの存在で、消費者として買う店の選択肢が増えるのはいいことですし、購入金額を抑えることもできました。とはいえ、商品には原価がありわけですから下がるにしても限度がありそうなもの、いくら安いものでも在庫処分ならまだしも非正規ルートで保証が効かなかったり模造粗悪品をつかまされたりしたら最悪で、安物買いの銭失いになりかねません。特にネットだけでは実物を見ることができないうえに、実際にどのようなものが送られてくるか手に取るまではわからないというのがありますから、単純な価格だけでは決めることができず、ものによっては信頼のおける店で買うことも大切です。

 

この価格の比較と言えばもうすでに皆さんご承知のこととは思いますが、イギリスが大先輩です。市場至上主義とでもいいますか、すべては市場原理が解決するかのような各種制度設計はイギリス人の生活にも根付いているらしく、たまにロンドンに出張に行ってテレビをつけっぱなしにしていると、比較サイトのTVコマーシャルをよく見かけます。かの地に赴任している同業者によると、比較サイトの比較サイトまであるらしく、その徹底ぶりには笑ってしまいます。

 

さて、ひるがえってフランスの中で、特に電気業の競争状態はどうなっているかご存知でしょうか。大部分の皆さんが電気をEDFから購入していると思うのですが、そのEDFは2004年に株式会社化されたとはいえその株式の80%以上を政府が所有したままです。それでも2007年には家庭用も含めすべての需要家に対して小売電力市場は自由化されており、EDF以外にもどちらかというとガス会社のイメージが強いGDFスエズや、メトロに乗っているとたまに広告を見かけるDirectEnergy、つい最近身売りされたPoweoなど、EDF以外に電気業を営む事業者は現在20社近くあります。大口需要家だけを対象にしている事業者も多いのですが、個人でもEDF以外から電気を買うことは可能なのです。

 

そして、その購入先を検討するために、フランスでも価格比較サイトが存在します。私も現在借りているアパルトマンではEDFと契約していますが、入居するときに特に誰かに聞かれることもなく、訳が分からないうちにEDFと契約になっていたような気がしますので、この間その比較サイトで自分のケースでの電気料金を調べてみました。

 

しかし残念ながら、EDF以外の大部分の事業者、料金メニューでは今の契約と同じかそれより高いものばかりが出てきます。三社5メニューで今より安いものがあり5パーセントほど安くなるようでしたが、個人的にはわざわざ変更するインセンティブが働きません。もちろん5パーセントと言えば日本だと消費税分になりますし、それでも十分という意見もあると思います。EDFは減価償却が進んだ発電設備をもとに安価な電気を手にしていることに加え、規制料金として政府が価格を低水準に抑えていることから、我々は欧州の中でも安価な電気料金を享受できているのです。他の事業者は基本的に卸電力市場から電気を調達し自由料金で販売しますが、一次エネルギーの高騰でその価格が規制料金に比べ高止まりしているという現状があります。

 

電気の場合製造(=発電)と販売(=消費)が同時同量という制約がありますので、本質的に不良在庫が発生しません。在庫処分で安値放出などということがなく、それよりもガスや原油などの一次エネルギー価格の変動がそのまま電気料金に影響するというダイレクトな価格構造になっていますから、単純な値引きには限界があり、需要の高低でメリハリをつけた料金や、グリーン電力のみで供給するなどのメニューを工夫して消費者にアピールするのが基本的です。

 

というわけでフランスではいくら価格比較サイトを活用して供給元を変更してもあまりメリットを感じるのは難しいでしょうが、前述のイギリス在住の業界関係者はものはためしと事業者の変更を積極的に行い、年間数十ポンドが安くなる予定だといっていました。とはいえ低価格戦略をとる事業者は附帯サービスを有料化してコスト回収を図る場合も多いですから、今後サービスまで含めて満足度がどうなるかは興味のあるところです。

 

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