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機械・自動車:高岡 拓也/仏国三菱重工業株式会社

新年明けましておめでとうございます。

 

機械・自動車 業界は製品分野が非常に多岐に渡りますが、弊社の主要事業ドメインであるパワー業界について説明させていただきます。

昨年2018年11月27日、「気候とエネルギーに係る政府戦略」という文書がフランス環境エネルギー省から発行されました。 同文書は2019年策定予定である「新エネルギー・気候戦略」の方針と、「新エネルギー・気候戦略」策定のために策定された「低炭素国家戦略」(SNBC)及び「数年次エネルギー計画」(PPE)の骨子を紹介したものです。世界的メガトレンドは脱炭素であり、パリ協定の地、かつ原子力発電大国のフランスが発表した本文書は、同じ北半球に位置する欧州諸国及び日本での政策議論に直接・間接に影響を及ぼすものとして注目すべきものであり、業界の見通しとしてその一部をご紹介致します。

1.「新エネルギー・気候戦略」により、フランス国民は2023年時点で次の影響を受けるとされており、これらに向けた施策が逐次実施される見込みです。

  • 石炭焚き暖房設備1万台(残存設備の半数に相当)と重油焚き暖房設備100万台(残存設備は300万台)をより効率が高い暖房設備に置き換え
  • 木質燃料による暖房950万戸(効率性が高い器具を使用)
  • 340万戸(住居換算)が都市暖房網に接続
  • 保有乗用車120万台を電動(EV及びPHEV)、公衆向け充電器10万台を整備
  • 自動車買い替え援助の受益者100万人
  • すべての石炭焚き発電所の運転終了
  • 原子炉2基の運転終了
  • 太陽光発電による自家消費が6万5000-10万ヵ所
  • 温室効果ガス排出量を2015-2023年に15%削減
  • 住宅250万戸のリフォーム完了(超高効率のものを含めた断熱リフォーム)

2.低炭素全国戦略(SNBC)には、気候変動の緩和に向けた政策推進に当たってのフランスの行程が規定され、関連するアクター(企業、NGO、労組、消費者団体、議員、地方自治体)および国民との協議の成果であり、特定の技術を優先することなしに、目標達成の方式については理性的な内容とされています。

同戦略の目標は、フランス国内での2050年のカーボンニュートラル達成により、パリ協定の履行を加速するというものです。

カーボンニュートラルとは、温室効果ガスの人為的な排出量と人為的な吸収量(森林、草原、農業用土壌、湿地など人間が管理する自然空間および二酸化炭素の回収・貯蔵・再利用のような産業プロセスを通じた吸収)の均衡を達成するという意味です。

そのため同戦略は、次に向けた政策の方向性が示されています。

 a.2050年までに、エネルギー生産を完全に脱炭素化、すなわち、バイオマス資源(農業廃棄物、林業廃棄物、熱生産用の薪)、自然を利用した熱(地熱、ヒートポンプなど)、脱炭素電力とする。

 b.あらゆる分野で、エネルギー効率を大幅に改善、省エネを発展させ、エネルギー消費を大幅に削減する。

3.数年次エネルギー計画(PPE)には、エネルギーミックスを多角化する政策が含まれており、「2030年に発電量の40%を再生可能エネルギー由来とする」と定めた仏エネルギー移行法の目標達成に資する発電は、水力、太陽光、陸上風力、洋上風力であると述べています。これらによる発電はコスト削減が著しく、少ない公的補助で大きな発展可能と見込んでいます。また、原子炉削減を現実的・計画的で、経済・社会的に問題のない方法で実施し、2035年にエネルギーミックスに原子力発電が占める割合を現状の75%から50%にまで引き下げる目論見です。なお、2035年以降については、現在の知見水準では既存原子力発電所に取って代わるべき競争力のあるテクノロジーが原子力であるのか、蓄電施設と組み合わせた再生可能エネルギーであるのか、その他の柔軟性ソリューションであるのか確信を持てないため、2021年半ばをめどに報告書を作成するとしています。これは、「今進行中のイノベーション・研究(水素、蓄電技術、デジタル技術の統合、グリッド、パワーツーガス、再生可能エネルギー等)を認識し、その進展にあわせ計画を策定する」と理解されます。

また、同計画には、再生可能エネルギー導入に伴うバックアップ電源に関する記述はないようです。フランスは、2018年の「黄色いベスト運動」による燃料税引き上げ反対デモで示されたように、「増税が脱炭素実現につながるという説明では有権者理解は得られない」状況下であると言え、利益を生まないバックアップ電源の規模及びコスト負担(ドイツは2017年に14億ユーロとの情報有り)のあり方も、新テクノロジーとのバランスの中で今後議論が必要と思われます。

以上、脱炭素、省エネ、再エネ促進がキーワードである点では凡そ本邦等の一般報道と大きく違う点はありませんが、脱炭素というメガトレンドにおいて、①2023年までの施策、②2035年以降であっても原子力が一つの選択肢であること、③イノベーション・研究進展がエネルギー計画を左右する状況であることを認識し、ビジネスに取り組む必要があるものと思われます。

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